2013年2月1日金曜日

レ・ミゼラブル

リーアム・ニーソン版より良かった。正確には、ジャンルが違うので、比較のしようがないのだが。

今回(ヒュー・ジャックマン)のレ・ミゼラブルは、ミュージカルの映画化であって、映画として新しく構成したものではないのが、特徴だ。なので、ストーリーの端折り方も舞台的で、ミュージカルという前提で見るとあまり違和感は無いが、映画と思うとかなり強引な展開だと感じる。

レ・ミゼラブルは複雑な長編小説なので、映画で一部を切り取るよりも、ミュージカルのような形でテンポ良く展開して、ストーリーを伝え切る方が合っているのだろう。

フランス革命前後のフランスが舞台だが、日本で考えると江戸末期、明治維新まであと30年ほどの時代、アメリカは南北戦争前夜だ。世界は揺れ動き、若者が新しい時代を切り拓こうと命を掛けていた。

レ・ミゼラブルは、一人の罪人が愛によって改心し、聖人として死ぬまでの物語だ。リーアム・ニーソン版では、最後まで描かれずジャベール警部の頑なな心を溶かす所までだったが、ヒュー・ジャックマン版は全てのエピソードを盛り込み、これが「レ・ミゼラブル」だ、という作品に仕上がってると思う。

キリスト教世界での愛という概念は、かなり都合良く構築されているように思う。日本的愛とは大きく異なる。

キリスト教世界では、セカイは階層化されていて、貧富の差が激しい。なので、階層を越えるナローパスとしてキリスト教があり、愛が狭く深いように感じる。日本は階層化が比較的少ない均質化されたセカイなので、愛は薄く広く行き渡る。だから表面上はみんな親切だ。

レ・ミゼラブルでの愛は無条件だ。結果、愛によってフランスは大きく変わっていくことになる。

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