2011年11月30日水曜日

時限クーポンの有用性

Grouponを始めとして時限クーポンというのが、一時期ほどの隆盛はないにせよ、一定の知名度を得ている。国産アプリでいえばイマナラ!が有名だ。

最近スマホに変えたというやや高齢の方が、スマホはお店と地図が連動していて使いやすいという感想を漏らしたのに反応して周りの人が勧めていたのは、イマナラ!だった。曰く、「今いる場所で使えるクーポンが見つかるので、お店選びに役立ちますよ」との事。他の人も「そうそう」。でも最後には、「使ったことはないんですけどね(^-^)」。

結局、時限クーポンってそういうものなんだろう。お得なクーポンが見つかるサービスとして認知されつつも、意外に使っている人は少なく、いわゆるバーゲンハンター御用達になっているということ。断言するにはサンプルが少なすぎるが、感覚的にはそんなに間違ってないと思う。

普通の人が使いたいサービスは、お得だけがフィーチャーされるようなものじゃないんだと思う。お得が無くても行きたい店はある。無性にカレーが食べたい時にクーポンの有無だけが行動のトリガーではないだろうし、腰を落ち着ける場所を探している時に重要なのは安さではないだろう。手芸用品が欲しい時にはその存在が貴重な情報になると思う。

人の行動にとって、クーポンのようなインセンティブだけが、そのトリガーになると思うのは大きな間違いだろう。むしろ、それ以外の行動起点が多く、その割にはそれをサポートするサービスがほとんど存在しないことに注目する必要がある。行動とインセンティブは密接な関係があるという前提が一般的になっていることもあって、インセンティブ以外の行動トリガーについて深く考察されてないように思える。

何が行動の起点になっているか、置かれている状況にも依るだろうが、よく考える必要がある。

2011年11月28日月曜日

ハシズム

橋下前大阪府知事が大阪市長選で見事に当選した。これから大きく日本が変わることは間違いない。これで変わらなかったら、日本は二度と変わらないだろう。

良いほうに変わるのか、悪いほうに転ぶのかは正直言って分からない。ただ、体制のドラスティックな変化と外国からの圧力でしか変われない国なので、その大きな一歩と言っていい。

ただ、国政との関係の中でしか地方分権の絵は描けないので、まだ一歩目でしかないのも確かだ。国政に楔を打ち込むことができたその先に地方分権の世界が開け、国にしなだれかかる様な地方のあり方から脱却できることを期待している。

また、他の地方が乗れるスキームにするためには、二重行政の解消だけではダメだ。広域行政のカタチをしっかり作って、そのメリットを最大化するような行政のあり方、国と地方の関係を作り上げる必要がある。

税金のあり方を変えて、教育と高齢者福祉を民間の活力を利用してうまく作り込めれば、日本の成長エンジンになる可能性はあると思う。

現段階では、かなり難しいチャレンジになると思うが、既得権益層の妨害や利権などに惑わされることなく、本当の改革を実現して欲しい。平成の大久保利通として清廉潔白な改革者の道を進んで欲しいと、同世代の人間として思っている。

2011年11月21日月曜日

TPPと明治維新

以前、江戸末期の考え方は二つの軸で表現できると書いたことがある。つまり、徳川体制を残すか滅ぼすか、そして、国を開くか閉めるかだ。4象限のいずれにもそれなりの合理的な理由もあり、それを応援する人もいた。

で、意見は四分したかというと、ほぼ三分となった。徳川を残して開国する(公武合体)、徳川を残して鎖国する(現状維持)、徳川を滅ぼして鎖国する(尊皇攘夷)というのが多勢であり、徳川を滅ぼして開国するという、後世から見たときの本流を支持する人は少なかった。

現代も同じような時代の転換点だとすれば、歴史に倣えば、現体制の破壊とグローバル化が暗黙的に求められているのではないか?

そして、破壊すべき現体制とは、劣化し崩れ落ちそうな中央集権官僚体制だろう。

つまり地方分権とTPP加盟こそが、明治維新以来綿々と続いた近代日本のパラダイムシフトを導く鍵になるのかも知れない。

以前のエントリーではTPP加盟反対と書いたが、あくまでもルールが明確でないゲームに参加するのは危険だ、という意味でしかない。今、政治に求めるべきは、ルールの精査と国民への説明だが、もしかして、TPPがトリガーとなって、平成維新が起こるのを恐れているのだろうか?

2011年11月18日金曜日

ネットは見つける、リアルは見つかる

ネットの情報は「見つける」という行為なくして見つかることは少ない。

Googleのシンプルなトップ画面を見れば分かるが、ネットには何でもあるが、見つけようとしない限りゼロだ。例えば、Yahoo!のニュースやAmazonの「New for you」とか「閲覧履歴からのおすすめ」のように、見つける前に見つかることは非常に稀だろう。

見つけてもらえなければゼロというネットの特徴が、SEO/SEMを意味あるものにし、レコメンドや行動ターゲッティングの研究を加速させた。みんな見つけて欲しいから。

容易に見つけられる=見つかる状態にしておくと言う事だろう。それを「見つける」という行為を前提に考えればSEO/SEMになるし、「見つかる」ことを前提にすればレコメンドや行動ターゲッティングになる。大量の情報で溢れかえるネットの世界では、見つけてもらうためのトリガーを何に求めるか、そこにフォーカスした方法論が開発される。

実は、リアルの世界においては、事情が違う。探す意識を持たなくても、リアルの情報は歩いてたら、ある程度見つかる。つまり、探してもらえなければゼロ、という訳ではない。知らない街でも目の前にマクドナルドがあることは分かる。探す意識がなくても何かは見つかる。それがリアルの世界だ。

また、リアルの情報量っていうのは、ネットに比べると多くないし、昔からさほど変わっていない。看板やPOP、お店のメニューなんて、大昔からほとんど変わってないだろう。そこに書かれている内容も、極端に増えている訳でもなく、これからも変わる気配はない。

リアルとネットの接点には、このような性質の違いがあり、そこを理解したシステム構築が求められる。

つまりリアルにおいては、闇の中を懐中電灯を照らして探すイメージではなく、明るい中を歩く人の視野を広げてあげるような仕組みが必要と考えている。Mecke!はそういうサービスだ。

2011年11月16日水曜日

女ジョブズ 山口絵理子

マザーハウスの山口絵里子さんの講演を聞いた。前から、ぶっ飛んだ人だなという印象を持っていたが、話を聞いて、すっかりファンになってしまった。

この人は、女性のスティーブ・ジョブズなんだ。もっと言えば、女性の松下幸之助と言っても良い。いずれにせよ、そのメンタリティは彼らに匹敵することは間違いない。

他人のレールに乗ってつまらない人生を送りたくない、死ぬ時に後悔したくないという考え方は、ジョブズの講演を聞いてるようだ。そして、結果だけをみると驚くべき行動力だが、肝っ玉とか勇気とか覚悟に裏打ちされたものではなく、むしろ、歩みを止めてはいけない、歩き続けることに意味があるという自分の「好き」に一直線なスタンス。エレキが体を走り、水道哲学を世に広め、成功の秘訣は止めない事と言い切る松下幸之助そのものと言える。

経歴も正直、訳がわからない。小学校で虐められて、反動で始めた柔道を続けるために入った工業高校。皆が就職する中で、一念発起して入った慶応。竹中平蔵氏の薫陶を受け開発学に目覚めるも、現地から離れた先進国から覗く新興国支援の現状に納得できず、単身バングラデシュの大学院に留学。そこで出会ったジュートに魅せられて始めたバッグ作り。。。

話を聞いていると自分が恥ずかしくなるぐらいに、人生と真剣に向き合っている。

自分は確たるポリシーも持たずに、なんとなくサラリーマンになった。自分が育った時代はそれが普通だった。でも、大きな会社の大きな仕事に段々と興味を失って行ったのも事実。人とのコミュニケーションが仕事の鍵を握る建設業は短期的には面白いが、長期的には話がデカすぎてリアリティに乏しい。だからみんな短期的な仕事に集中して、自転車操業を続けている。とは言え、長く業界に生息するとぬるま湯から出るのが億劫になってくる。

今回、講演を聞き、本を読んで、自分を見つめ直す良い機会になった。「退路を断ち、覚悟を決める」時機がきている気がする。山口さんのようにはいかないが、自分なりに納得の行く方向を探したい。

2011年11月14日月曜日

何を有償で、そして何を無償でサービスするべきか

カンブリア宮殿で大垣共立銀行を取り上げていた。地域シェア80%を超え、日経金融機関ランキング顧客満足度3位に輝いた地方銀行だ。

社長は、銀行は金融業ではなくサービス業だと言い切る。実際、コンビニのようなサービスがいっぱいで、面白いのは学校帰りの中学生が銀行に寄り道し、立ち読みを楽しんでいることだ。他にどこの銀行に、中学生の存在する余地があるだろうか。

サービス業と言っているのは、もちろん間違っている訳ではなくて、銀行は金融サービスを提供する企業だ。ただ、そのサービスが定義する範囲の広さだけが違うのだろう。

ある時期からコンビニにATMが設置されてきた。コンビニから見ると当然ながら物販がメインで、ATMは人寄せパンダ。銀行がコンビニ化するときは金融業務が中心で、コンビニ的なサービスはあくまでもCS向上施策。

コンビニが銀行をサービスにする方がいいか、銀行がコンビニをサービスする方がいいか、どっちなんだろう?

両者ともに本業でしっかり稼ぐ前提に立って、客の目線で見ると、コンビニのATMサービスは「便利さ」があり、銀行のコンビニサービスは「楽しさ」がある。また、客が支払うコストを考えると、前者は通常の手数料、後者は無料である。単に便利であることと無料で楽しいことを比べると後者のほうが優位だが、どちらのサービスもないと困る。


大垣共立銀行の事例から、2つのことが分かる。
一つは、会社もしくは業種/業界のコアを明確にすることだろう。収益の源泉であり、差別化要素となる領域を確立することが大事だ。銀行は窓口業務だろうし、コンビニは品揃えなんじゃないかな。
もう一つは、会社もしくは業種/業界が互いに侵食しあう領域を認識することだろう。銀行はATM、コンビニは人が集う目的と言えるかも知れない。

ゼネコンにおいても、Kozchiのようなネットサービスにおいても同じだろう。

2011年11月11日金曜日

比較優位の原則

TPP加盟への肯定意見として、比較優位の原則を持ち出す人も多い。確かに単純化した理論上はその通りだろうが、成立条件として、A国で作られた工業製品はB国に、B国で作られた農作物はA国に渡らなければいけない。そうでないと単に供給過剰になるだけだろう。

工業製品が得意なA国と農業が中心のB国は言ってみれば、A国:先進国、B国:新興国、といっていいだろう。A国で作った工業品を買えるほどの経済力がB国にあるのだろうか、そして、B国で作った農作物を受け入れるだけの文化の共通性はあるのだろうか、という気がしている。

そんなのB国に合わせた工業製品をA国が作ればいいだけだ、と言うかもしれない。生産量としてはそうかも知れないが、ペイするのかと言われると、少し怪しいような気がする。B国の農作物はもっと難しくて、文化が合わなければインパクトのある貿易量にはならないだろう。A国に合わせて品種改良するぐらいなら生産性の高いA国で生産する方が安くなることだって考えられる。

日米のコメ問題を例にとっても、大規模農業で中粒米の得意なアメリカと、小規模農業で短粒米中心の日本でコンフリクトが起こるとは思えない。

TPPに加盟したらコメが壊滅するという典型的なTPP反対論者の意見は、マクロな比較優位をベースとしたもので、コメの生産量と価格をザックリと比較すると、このような結論にはなるだろう。一方、TPP賛成論者は、高品質な短粒米しか食べない日本のコメにおいては、国内産の優位性は変わらないとする、ミクロな比較優位に基づいて反論する。(エキセントリックな意見としては、マクロな比較優位を採用しつつ、国際競争力のないコメは壊滅してしまった方が良いと言ったりもする。)

論理的には比較優位で方がつくが、実際には諸処の条件から、教科書的な比較優位に基づく自由貿易がもたらす産業の棲み分けなんてほとんどない、というか自由化を待たずして農業は、既に平衡状態に近いのではないか。

とすれば、農業において自由化するメリットはなんだろう?そして、自由化のデメリットはないことになるのかな。

結論なし。

2011年11月9日水曜日

エネルギーシステムのバランス

震災後、スマートグリッドが脚光を浴び、エネルギーの分散化が叫ばれている。拠点の分散化とエネルギー源の分散化。

今まで効率性や安定性を求めて大規模集中を推し進めてきたが、震災を機に安全性やロバスト性に大きく舵を切ろうとしている。効率性や安定性は多少犠牲にしても安全性やロバスト性には替えられないということだ。

よく考えてみると、阪神大震災の時は電気の安全性やロバスト性が証明され、オール電化の引き金になったように思う。復旧に何ヶ月もかかったガスに比べて、3日ほどで80%以上回復した電気の強さを身をもって感じたはずだった。

原発も環境負荷が少なく、コストも安い日本向きのエネルギー源だと思われていた。そして、数十年後には日本の電力の半分以上を賄うはずだった。

時代は流れ、東日本大震災。津波によって原発が破壊され、誤解を恐れずに言えば、たまたま起こった電力不安。電気の評価はひっくり返り、オルタナティブな選択肢としてガスが持て囃されている。

ここはよく考えたい。
本当に電気は不安だろうか?本当にガスはオルタナティブたりうるだろうか?本当に大規模集中より分散が良いのだろうか?

日本人は極論に走るのが大好きだから、脱原発を果たしてしまうかも知れない。日本的ガラパゴス化にまっすぐ突き進んで、丁度良いバランスを探ることなく、究極の安全やロバストを目指しそうな気がする。

本当は、効率性、安定性、安全性、ロバスト性は、少なくとも一部にはトレードオフの関係を持っており、いずれかに極端に振れることが最適の解とは言えない。どこかにあるバランスを見つけて、はみ出た部分は、何らか別の方法で手当てすべきだろう。

エネルギーでバランスを失うと、間違いなくコストに跳ね返る。ペイするレベル、サステナブルなバランスが重要だ。極論に走るとスマートから遠ざかる。

今考えるべきスマートな世界は、集中と分散のバランスを見つけることから生まれる。

2011年11月7日月曜日

auのiPhone戦略

なぜ、auはiPhoneのテザリングを開放しないんだろう?iPhoneユーザーでテザリングができないことを不満に思っている人も多いのではないだろうか?

iPad欲しいけど、もう一回線はキツイでしょ、という人はいっぱいいるだろう。クラウドサービスを頻繁に使うようになると、全てのデバイスで、同時にじゃなくてもいいから、ネットに繋がる環境が欲しくなる。iCloudでフォトストリームを使うだけでもそう感じる。

今、iPhoneのテザリングをApple製品にだけ認めたら、Appleに対して強力なカードを持つことになる。何百万台か販売ノルマを呑まされているとの噂だが、そこに楔を打つことが可能なんじゃないか?Apple製品の拡販にも繋がって、ソフトバンクにも痛烈な一撃を与えることができる。そして、現状ソフトバンクにはそれに追随するだけの回線的余裕がないとすればなおさらだろう。

auは一部Androidスマートフォンでテザリングを認めていることを考えると無茶な要求ではないだろうし、回線の同時使用さえ認めなければ、流れるパケット量も大して増えないのでは、と思える。

iPhoneとiPadとMacbookAirがシームレスにクラウドと繋がったら、どんなに素晴らしいだろう。それぞれを得意な環境で使えて、データは全てクラウドにあって、常に同期が取れている。夢のようだ。

ぜひ実現して欲しい。Apple限定で構わないのでテザリングが実現したら、auに乗り換えることを検討したい。いや、乗り換えたい。

2011年11月4日金曜日

TPP是か否か

TPPは簡単に言えば、国内市場は攻められ、海外市場には攻め込める「可能性」が高まる、という事だろう。つまり、国内市場がメインの業種は反対し、輸出産業は賛成する。

議論する上で、いくつかの切り口があるように思う。

例えば、日本経済における貢献度合いで言うと、農業に比べると輸出産業のほうが大きいので、TPP賛成となる。逆に、国内市場の荒廃につながるという視点で考えると、国内市場に留まっている産業は、生活や生命に関わるものが多いので、TPP反対となる。また、業を守りたいのか人を守りたいのか、という視点もある。農業 vs. 農家の構図だ。TPPに賛成したからといって、農業が荒廃するかどうかは分からないし、そうならない道もありそうに思う。ただ、従来の意味での補助金付けの農家は、かなりダメージを受けるかもしれない。

自由化によって国内市場がどのように変化するのか、また、変化への対応は可能なのか、を議論し道筋をつけていかなければいけないだろう。そして、変化への対応ができない領域があり、それが大きいか、極めてクリティカルで自由化しがたいと判断された場合にのみ反対するべきだと思う。

まず農業はどうだろう?
関税が撤廃されると安い米、肉、果物などがいっぱい入ってくるだろう。野菜は長距離を移動させるメリットがあまりなさそうだが。では、日本の米、肉、果物は競争力がなくなるのだろうか?米で考えると、TPP参加予定国で東南アジアは長粒種がメインなので、アメリカ米が対象だろうが、実質的にアメリカ米の生産量はさほど多くないので、日本の米農家に深刻なダメージがあるほどには入ってこないような気がする。肉や果物は既に多くが輸入品なので、今までと変わらないかもしれない。もちろん事業者にとっては問題だが...

同じように、金融、医療などを考えてみる必要がある。どうやら非関税障壁の撤廃がキーワードになりそうだ。自由競争の名の下で障壁になりそうなものが協議の対象になるようだが、国民皆保険を始め、多くの日本の制度は、その槍玉に上がる。つまり、日本社会のインフラというべき制度が破壊される可能性が高いのだ。

そして、別の問題もある。
TPPによる自由化は海外市場に攻め込める「可能性」が高まると書いたが、では、その攻め込むべき市場はどこかというと、現状で中心になるのは米国で、それって今までとほとんど変わらないんじゃないか、という議論もある。現在のところTPP参加を予定している国のGDPを足し合わせると90%が日米2カ国で、わずか10%程度を残りの8カ国が占めるらしい。TPPに入ると、アメリカが日本のものをいっぱい買ってくれるのかね?TPPに参加するということは、アメリカも市場を広げたいということだろうから、当然日本を攻めてくる。さて、どちらの力が強いか?

そして、最も大事なのは、TPPが不要と分かったときに脱退できる権利と、現時点での交渉状況の開示だろう。どうも事実上の途中脱退が不可能な仕組みのようでもあり、中身が分からずに加入するかどうかを決めるというのは、危険すぎるというか、あり得ない事なんじゃないだろうか?

ということで、一般によく言われている農業は、実はさほど大きな問題でもなさそうだし、グローバル化、自由化は賛成だ。でも、TPPの問題はそこにはなく、それ以外の枠組みやポリシーという面にある。TPPに日本が参加する意義、メリットは薄いような気がする。というか、TPP参加は大きな社会変革へのトリガーになるのは間違いなく、不利な方に転ぶ可能性が高いと思う。

TPP加入に反対します。

2011年11月2日水曜日

サーチ

「探す」という行為には、「ヒント」と「明かり」が必要だ。

例えば、頼まれて友人の部屋から何かを探すときには「ヒント」がないと難しいだろう。ヒントとしては、「書類」「人形」というような対象物の種類や「窓際」「廊下」といった場所、「黄色」「ピンク」のように色を示す必要がある。一般に、ヒントの数が多ければ多いほど、対象物は特定されやすくなり、見つかる可能性が高まる。

つまりこれがサーチエンジンだ。対象物に関連するキーワードを切り口として、無数にある候補から一つのモノに探し出していく。しかし、キーワードが余りに一般的だと、その切り口断面上に現れる候補が多すぎて絞り込むことができないという課題がある。

「探す」ことのもう一つの前提条件は、そこが暗闇であることだろう。自然に目に入ってくるものは何も無い。暗闇で何かを探すには、「ヒント」に加えて「明かり」が必要だろう。手探りで探しても見つかるわけはなく、何はともあれ光がないと始まらない。

サーチエンジンでは、キーワード選択という行為の巧拙をフォローするために、機械的な重み付けが存在する。Googleの場合はPage Rankだ。それぞれのページの重要度を、そこに紐付くページの数によって判断し、それを検索の順位に反映させている。このPage Rankがインターネット検索において、非常に重要な「明かり」の役目を果たしている。SEO/SEMなどは、自分のページを見つけてもらうために「明かり」の下に出ていくための方法を示していることになる。

「ヒント」は単純だが、「明かり」をどのような強さで盛り込むかはサービスの特性によって異なる。Facebookのように、人のつながりを「明かり」とするならば、かなりシャープな光と言えるだろうし、iタウンページのようにカテゴライズされたポータルを「明かり」とするならば、かなり拡散したボワッとした光だと言える。

個人的には、その間に正解があると思っている。つまり、光がシャープすぎると見えない領域が広すぎるように思えるし、逆に全面的な光は見逃す可能性が高くなると考えている。Kozchi -mecke!-は、位置情報とステッカーを使うことで、その丁度良いバランスを目指している。