2009年9月14日月曜日

枯れた技術の水平思考

任天堂の本を立ち読みして、深く頷いた言葉がありました。それが「枯れた技術の水平思考」です。これは大ヒット玩具を作り続けた、横井軍平さんという方の言葉です。

横井さんは豆電球と太陽電池でシューティングゲームを作りました。太陽電池は当時、技術的には既に枯れており、アプリケーションを探してメーカーが各所にヒアリングをかけていた段階という事のようです。おそらく性能は低く、光に反応してごく微量の電気は流す程度だったと思われます。横井さんは太陽電池の発電性能ではなく、光に反応するという機能に着目して、シューティングの的として、弾である豆電球の光を捕捉することだけに使いました。本来、太陽電池は発電することが目的ですし、豆電球は光ることが目的です。一旦それを置いておいて、組み合わせで新しい価値を作り上げた訳です。

このことが、「枯れた技術の水平思考」の事例として紹介されていました。私もイノベーションは、コンセプトと技術を両輪として、デザインを燃料に走り出すもの、だと考えています。世の中に受け入れられるものの多くは、枯れた技術を使い、新しいコンセプトの皮を被せたものだと思います。新しい技術、それがある程度枯れるまで、その技術を適用することによるリスクが見えてくるまで、不遇の時を過ごす運命にあります。

その時期をグッと耐え、素晴らしいコンセプトで商品化する事ができたら、大きな大きな果実を得ることもできるでしょう。しかし多くはそこまで至らず、技術の礎となり果実は将来世代に渡さざるを得なくなります。ことほどさように、技術でイノベーションを起こすのは難しい事なのです。

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