2012年5月9日水曜日

シャープのズレ方が半端じゃない

シャープが自動掃除機を発表した。発想はともかく、基本機能も特別機能も価格設定も明らかに正しくなく、ガラパゴスの二の轍を踏むのは目に見えている。つまり、失敗→撤退だ。

発想は、別にいいだろう。iRobotのルンバが創り出した市場に挑戦者として参入する。東芝のダメな所を反面教師として、本当の対抗馬と言える製品を送り出す。

その場合の基本機能は、ルンバが設定したハードル、と言うことになる。掃除機だからゴミの除去性能が同等以上である事は最低条件だろう。つまり、ルンバが引いた自動掃除機の定義・条件をクリアする事が求められる。ある雑誌で見たが、東芝の製品はルンバに遠く及ばないらしい。平面部も角部もルンバの性能は一段も二段も上だと言う事だ。その除去率は95%以上だったと思う。方やシャープの製品はプロモーション映像ですら除去性能の低さを感じさせるできだ。ここをクリアしない事には同じ土俵に上がる事すら叶わないと思うが、どう考えているのだろうか?

もしかして追加した特別機能のユーザーへのアピール度が高く、基本機能で後塵を拝しても挽回できると考えているのかもしれない。そんなシャープの特別機能は「コミュニケーション」だ。つまり、しゃべるロボット。悩みや愚痴を聞いてくれたりするらしい。そして、時々は関西弁で笑わせてくれるとか。

掃除機にそんな機能を求めている人、いる?そもそも、不在の時や他の仕事をしなければいけないときに、自動で動いてくれたら助かるな、というシーンを想定すると、ロボット相手にムダな会話をしている場合じゃないと思える。増してや、関西弁になったからって、何か心が動くということでもないと思う。

無意味な機能はユーザーのロイヤルティを下げるだけだと思うが、いかがだろうか?

最後に、価格。ルンバの最上位機種が9万円程度で、ベーシックなモデルが5万円ほどで買えるのに、能力の劣る製品に13万円払う人っているのだろうか?そもそも掃除機は、紙パック式であれば2万円ほどで、そこそこのものが買える。サイクロン型で5万円ぐらいだろうか。そのような市場で少なくとも2倍、下手したら7倍ぐらい高価なものを手に取る付加価値って何だろう?

以前のエントリーでも触れたが、日本企業の商品開発に向かうセンスが劣化している事は間違いないだろう。本質を削り出す作業をする事なく、ムダな機能を付けて誤魔化そうとするなんて愚の骨頂だし、それを認めた経営幹部を疑う他ない。今やらなければいけない企業としての打ち手は、センスを磨く事だけだと思う。

No Sense, No Product.

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