2009年7月17日金曜日

99/100の反対

昨日立ち読みした「革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55 (永田豊志著)」という本の冒頭で、ヤマト運輸やソニーの例を引いて、反対が多いほど良いアイデアである、といった記述があった。

昔から言われていることだが、誤解があるような気がする。根底から反対されるようなアイデアが良いわけがない。検討に値するのは、コンセプトは賛成だが実施は反対という、極端な評価を受けるアイデアなんだと思う。

例えば個人の家までスピーディに荷物を届ける宅配便。それ以前は、国鉄の駅留めで発送から10日ほど必要だったという。そんな状況で宅配便の発想、コンセプトに反対が多いとは思えない。「言ってる事は分かるが、コストも手間もが掛かりすぎるでしょ」「できたらイイね。でも、できるわけないよね。」という反応が大多数ではなかったのかな、と推察する。

iTunes Storeもそう。その昔は音楽をCDからmp3などに変換するのも一苦労だった。リッピング、エンコードと、すごい時間をかけて1/10ぐらいに圧縮したファイルで、普通に音楽が聴けることが分かって、持っていたCDをひたすら変換しまくった。その時に夢中になった理由の一つは、「これ、みんなが持ってるCDを変換してシェアしたら、すごいライブラリになるんじゃない?」という気持ち。それがP2Pソフトを生み、犯罪の温床を作り出した。みんな合法的なmp3ストアを欲してた。でも、やりようがなかった。きっとソニーもアップルも、社内の多勢は「できたらイイね。でも、できるわけないよね。」と思ってたに違いない。

つまり、コンセプトは全員に賛成してもらえるが、実施の話になると、目の前に横たわる制約や先入観から、全員に反対される。これが良いアイデアなんだと思う。

「できたらイイね。でも、できるわけないよね。」

こんなアイデアが具現化された時、パラダイムシフトが起こる。イノベーションはこうやって生まれるのかも知れない。

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