2010年4月16日金曜日

マイクロソフトでは出会えなかった天職

以前にも一度紹介したことのある、ジョン・ウッドの名著。

前半は涙なくしては読めない。なぜマイクロソフトという、多くの人が羨むエクセレントカンパニーを辞めて、食うや食わずの厳しいNPOの世界に入ったのか。その単純で透明な気持ちに共感する。

自分もささやかながら、NPOを運営(休眠中)している。NPOは事業収益をあげることを極端に言うと忌み嫌うが、私のNPOは当初理念としては、収益をあげキャッシュフロー的に成立することこそ、全ての法人に求められる姿勢だと思っていたので、事業化を目指していた。ASPのサブスクリプションモデルだったので、5,6年前だとまあまあ新しかった。でも、ビジネスモデルで言うのは簡単だけど、実際の売上は立たなかった。理由は色々考えられるが、単純に正しくなかったんだと思う。

その時に、NPO的なバイアスを多分に含みながらも、事業とは、会社とは何をするための枠組みか、大義や会社と社会との関係などを学んだ。だから、著者の気持ちはそれなりに理解できる。

世のため人のために役立つサービスを提供しようとすればするほど、お金は遠のいていく。NPOと言えども、キャッシュが回らなければ存続できないし、意味がない。そこで安易に助成金などを求めて、ぶら下がるだけの組織になってしまっている所も多いだろう。NPOは、大義とお金を結び付けるのが、普通の営利企業よりも難しいと思う。

途上国に教育を届けたい、そのために本を贈り、図書館を作り、読書の機会を与えたい、というのは、先進国で通常の教育を受けたものにとっては、共感しやすいだろう。誰もが本から知識を得ている。特に、テレビやインターネットがない時代、地域においては。だからこそ読書こそが、個人の成長と国の発展に不可欠だという気持ちを共有できるんだと思う。

Room to Readは、そんな気持ちを具体的な行動に移す機会を与えるものとして、存在しているのだろう。地球に存在する全ての生き物が、それぞれに幸せを享受できれば良いと、多くの人は望んでいるだろう。特に宗教によって、富める人から貧しき人への施しが刷り込まれている人々にとっては。

そんな絶対的な大義を、休暇の旅行中に偶然見つけた著者は、そこから、マイクロソフト的ビジネス手法で突き進むことになる。

その情熱と構想力、行動力に圧倒される。
これから何らかの事業を興したい人には必読の本だと思う。

以下、
気になったフレーズを。
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・会社が大きくなればなるほど、努力と結果の相関関係は小さくなる。マイクロソフトで大きな変化を起こせないなら、ここを去ればいい。

[大きな変化が大きな会社から生まれてくる例はそんなに多くないだろう。やはり、情熱と行動力を伴った変革者は、明日を待ち切れない人だろうから、ベンチャーという器が相応しい]

・優先順位が変わっただけだ。だれかのために働くより、自分で何かを始める時期なんだろう。

[優先順位が変わる事はよくあることだろう。むしろ絶えず見直すぐらいがちょうど良いのかも知れない]

・バンドエイドをはがす方法は二つある。痛いけどゆっくりはがすか、痛いけど一気にはがすか。きみが選ぶんだ。

[この二択を迫られたら、一気にはがすしか選択肢はない事がわかる。ゆっくりと痛みを味わうなんて拷問だろう]

・はっきり拒絶されないうちは、あらゆる手を尽くしたとは言えないのだ。

[うん。この粘り強さが非常に大事。こういったマインドセットを持つには、手持ちの商品、サービス、技術に絶対的な自信や確信と覚悟が必要だろう]

・大切な寄付者と会う前に確認する五つのポイントをまとめてみた。

[このようなポイントはどんな行動にも存在する気がする。意識して、整理しておくことが大事]

・時間と精力をつぎ込む価値のある目標があるなら、大きく考えるべきだ。

[昔言われた、big pictureを持て、という言葉に似ている。物事を大きく捉えるのは大切だが、訓練が必要だ]

・彼らがルーム・トゥ・リードを選ぶ理由が必要なのだ。

[これ大事。みんな言い訳を探している。スムーズに行動するための最大の障壁は自分自身なので、自分が納得できるような理由付けが、本当に大事になる]

・最大のリスクは、たくさんの人が、あなたを説得して夢をあきらめさせようとすることだ。一人で考える時間が長いほど、否定的な力に引き寄せられて取り込まれやすくなる。

[これも強く感じる。Kozchiにしても、ネガティブな意見を言って、やめさせようとする人は多い。ここでの最大の説得相手は配偶者だったりする]

・いまの自分以外になろうと望まず、完璧な自分であるように努めなさい。

[昔、友人から聞いたキリスト教徒のメンタリティそのものだ。日曜ごとのミサは、この完璧な自分を見つめ直すためにあるらしい。敵う訳がない]

・(40代は)大人の時間でもっとも生産的な10年間

[まさにこれから。今後の人生の助走として、最も生産的な10年を歩みたいと、切に願っている。その方法は...]

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