2010年4月28日水曜日

すでに選択肢はない

経産省が作った「立地競争力」に関する資料が読んだ。わが国は非常に厳しい環境に置かれている。

http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g100423a03j.pdf

少し前に公開された「産業の現状と課題」を合わせ読むと、すでに取り得る選択肢はそう多くない事がわかる。

http://www.meti.go.jp/committee/materials2/dow%20nloadfiles/g100225a06j.pdf

江戸後期、明治維新前夜の状況は、大きく整理すると二軸でしかない。つまり、幕府をどう考えるか、そして外国との関係をどう考えるか、である。

幕府◯外国◯:幕府の立ち位置→公武合体
幕府◯外国×:鎖国攘夷(新撰組)
幕府×外国◯:尊王開国(龍馬)
幕府×外国×:尊王攘夷(水戸)

この時代も、4象限に分かれてはいるものの、少し俯瞰してみると、尊王開国しか選択肢はなかった事は分かる。グローバル化が始まった時代である。遅かれ早かれ開国は止むを得ないだろう。その時に、時の幕藩体制ではとても対応できないだろうから、一度作り直す必要もあったろう。
勝や龍馬の見識が正しかった、という事だ。

振り返ると今は、国内事情として「大きな政府」か「小さな政府」かの二択がある。つまり、福祉か競争か、ということであり、欧モデルか米モデルか、とも言える。

もう一方で海外との関係だが、小さくみると、米か中か、ということだが、少し俯瞰すると、国内指向か海外指向か、と言える。ただ、国内指向の競争モデルとか、海外指向の福祉モデルは、取り得ないような気がする。

つまり、国内指向福祉モデルまたは海外指向競争モデルの二択になる。

もう一度、幕末に話を戻す。
よく考えると幕府◯外国◯とか、幕府×外国×とかは、取り得ない。300年近くのオリが溜まった組織で百戦錬磨の外国に対抗するのも、全く新しい体制を作ったのに国内に閉じこもる事も、全く合理的ではない。

でも、この二つの派閥が幕末の思想の主流だった訳だ。

今から考えるとあり得ないが、当時を生きていた人からすれば、国際情勢に明るい知識層は既得権益を守ろうとするし、無知な庶民は世の中をひっくり返したいけど面倒は困る、と全く合理的な考えに基づいている。

そして今、国内/海外、競争/福祉がちょうど中間地点でもみあいながら、閣僚がそれぞれの思惑で勝手に動いているような、そんなイメージだ。それもこれも現首相が、曖昧な態度を取ってるからに過ぎないのだが、それでも段々と国内指向福祉モデルに移行しつつあるように思う。

福祉モデルには金がかかるし、国内市場は限界がある。先の資料と考え合わせると、わが国は破綻への道を歩いているようにしか見えない。

残された唯一と言っても良い可能性は、地方分権だろう。日本全土を対象にするから議論が歪むのであって、海外指向競争モデルを採用する地域、国内指向福祉モデルを採用する地域がそれぞれにあって、日本という形を作れば良い。

これだけ国がボロボロになって、かつ、宰相が無能だからこそ、明らかに見える道、地方分権に向かって進むしかない。

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