2012年2月15日水曜日

ハードの販売が大事

スマイルカーブを見て、ハードの販売ではなく、研究開発やサービス開発に注目するのは、正しいようで正しくない。ハード販売がない研究開発やサービス開発は、クリープを入れないコーヒーではなく、ゴールのない入り口だからだ。


ゴールの設定は、それぞれのビジネスの形態で異なるのは当然だが、ユーザーが最もお金を払ってくれる事業領域が、最も重要なゴールになる。その意味で、研究開発やサービス開発は必要不可欠でありながら、最終的なゴールとはなるとは限らない。なぜなら、基本的に開発という行為は投資としてお金が出て行く活動だからだ。


ブランド構築や基礎研究は、より多くのお金を獲得するための差別化要素であり、ユーザーが我が社を選ぶ理由ではある。そのため、無いよりはあるほうが良いに決まっているが、無ければ商売ができないというものでもない。むしろ金食い虫としてのネガティブな側面を考えれば、無い方が良いという結論もありうる。その証拠に多くのビジネスは差別化できていないが、会社としては存続している。


現在差別化されていない事業領域に身を置いているとして、スマイルカーブの両端を狙って活動の幅を拡げたとしても、そこで即座に効果が得られるものでもなければ、下手したらその収益を期待したサービス部門はお金をほとんど生み出さないかもしれない。

Appleもその収益のほとんどを生み出しているのはハードの販売だ。コストを極限まで抑える努力と同時に、売り上げの単価を上げる方策として、iTunesやAppStoreがあって、ゲームや音楽を始めとしたコンテンツを販売・管理し、その事がハードへのロイヤルティを高め、売り上げに貢献している。その流れを理解しないまま、事業の上流・下流に首を突っ込むのは得策ではない。

具体的に言うと、ゼネコンは建物を造るだけだと薄い利益しか見込めないので、不動産開発などやゴルフ場経営に乗り出した時期があった。また、最近でもそのような雰囲気が出てきている。そういった仕込みを考える時に、不動産開発で儲けるのではなく、本業の「建物を建てる」という部分において、通常よりも大きなフィーを頂けるような算段をしなければいけないということだ。一足飛びに不動産開発事業での収益を期待すると、結局は思い通りにならず損失だけを計上して撤退する事になる。

短期的な利益やユーザーニーズを考えると、せっかく作ったサービス事業の収益としての会社貢献を期待したりするのだが、長期的に考えると、我が社が得意としており、また、ユーザーがお金を払ってくれる事業領域へのフォーカスがより大事になってくるのは自明だ。意外に忘れがちだが。

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