2012年2月27日月曜日

船中八策

すでに取り上げるには遅きに失した感もあるが、橋本市長率いる維新の会が提案した「船中八策」。内容について、どうこう言うつもりはないが、この安易なネーミングは、自らを坂本龍馬になぞらえたいという意識だろうか?

坂本龍馬が明治維新の立役者だとするのは良いとして、実際に明治維新後の社会を作ったのは誰かという観点で考えた時に、必要なのは龍馬だけではないということが分かる。確かに龍馬が江戸から明治へと移り変わる時代の転換点に立ち、中立的な立場で大局的な視点を持って、未来の社会とグローバル社会とのつきあい方を整理し、定義したのかも知れない。しかし、実際に世の中を動かしたのは大久保利通であり、伊藤博文だったのではないだろうか?

時代の転換点には犠牲になる人がつきものだ。龍馬を始め、西郷隆盛、桂小五郎、高杉晋作などなど、数多の英傑が自らの信条と生命をかけて火花を散らし、一つのまとまった結論として大政奉還という方向性を持った。その前後におけるフリクションを避けて通る訳にはいかないが、それらは一つの礎として存在するのみで、現代まで続く体制は、彼らが作ったのではない。

橋本市長が目指しているものは「船中八策」というワードだけで判断すると、龍馬的時代の転換点に置ける礎であり、大久保的今後100年に亘る体制への再構築、という訳ではないのかも知れない。今後の地方分権やグローバル社会への対応に対して、一つの道筋をつけることだけを目的にして活動しているとするならばそれでも良い。ただし、そういった中でも、しっかりとマネジメントできる人材を確保しておく必要がある。

個人的には、小泉元首相が龍馬的破壊を行い、その後の時代の方向性を見定めていく中で、橋本市長のような先鋭的な地方自治体の長が時代の形を定義づけていくものだと思っていたが、「小泉」龍馬は方向性を見いだしてはいたものの、しっかり次につなげていく所まで持っていけず、結果として遠回りしただけになってしまった。同じ轍を踏まないように、船中八策だけではない、次の体制構築を見越した活動をするべきだと思う。


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