2012年9月28日金曜日

マップ:Googleの対応はいかに

iPhoneからGoogleマップを追い出し、自家製マップに置き換えたおかげで、Googleも重大な決断を迫られる事になった。

Appleが自信満々にローンチしたマップは、その出来の微妙さから論議を巻き起こしている。

地図の表記自体が間違っている。鉄道がない。地下鉄出口がない。地名が間違っている。地名がローマ字やハングル。などなど。

Appleの事なので、驚異的な追い上げと素早い修正が期待できるものの、海中まで見れるようになったStreet Viewに追い付くのは至難の技だろう。情報量、利便性から自ずとGoogleマップのアプリ化を待望する意見が増えるのは当然だ。

Googleはまだアプリ化はしていないと言うが、どうするつもりだろうか?

事の発端はAndroidのマップとiPhoneのマップの機能差らしい。Androidで実装されている turn-by-turn navigation(tbtn)をiPhoneのマップに実装してくれないので、やむなく自ら手当するに至ったという。

確かに新しいiPhoneのマップはtbtnが目玉だ。

ここで、Googleが取り得る選択肢は3つある。
1.アプリは作らない
2.アプリを提供する(tbtnなし)
3.アプリを提供する(tbtnあり)

大事なのはユーザーの期待にどう応えるかだ。

Googleマップへのアクセスの半分近くはiPhoneからだという統計がある。つまり、アプリ化しないことはGoogleマップに対するアクセスを激減させる事につながる。広告代理店としてアクセス数命のGoogleとしては受け入れ難い事実だろう。

では、アプリ化するとしてtbtnを実装しない選択肢を選べるのだろうか?

ユーザーのニーズは、今まで通りのマップ+tbtnという感じだろう。そのニーズを詳らかにしただけでも自家製マップの意味はあったと思う。

そんなユーザーのニーズを理解した上で、なおかつGoogle純正として提供する時に、ただのマップを出せる訳がない。Google純正である以上、中途半端な商品を出すことは、沽券に関わるからだ。

結局、GoogleはiOS6/iPhone5でtbtn付きのマップを出さざるを得ないだろう。マップがiOSから切り離された以上、競合OSとの機能的差別化という言い訳は消滅している。

つまり、対ユーザーという目線で考えた時にマップを提供するべきかどうか、という判断になるはずだ。そうなると、Googleマップに対するアクセスの半分を占めるiPhoneユーザーを無視する訳にはいかない。

逆にiOSに残しておいたら、Googleは積極的にはアップデートしてくれないだろう。しかし、Googleがアプリを自主的に作ると言い始めない限りはマップをiOSから外す訳にもいかない。そのような状況を考えると、内製するフリをするというのがAppleにとっての最良の解と言えるだろう。

Appleにしてみれば、内製アプリが成功しても失敗しても、ほとんど痛手を負わず、tbtn付きマップが手に入る。

Jobsならリリースしなかったであろう中途半端なマップも、Googleの背中を押す作戦の一つと考えると、CookのAppleは以前よりも強かな会社に生まれ変わったのかも知れない。

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