2009年5月29日金曜日

天使と悪魔

展開が早くて、面白かったです。前作のダ・ヴィンチ・コードよりも動的な、観てて飽きない映画でしたが、最後のどんでん返しへの伏線には少しムリがあるかな、と感じました。

物語の舞台は、ローマ法王崩御に伴うコンクラーベなのですが、あれだけの権力の頂点に立つ稀有の機会ですから、深謀遠慮、手練手管、なんでもありなのかも知れません。

後から考えても、最後まで天使か悪魔か分からない人の立ち位置や態度の曖昧さが持つ意味はよく分かりませんでしたし、天使で悪魔な人の壮大でリスキーすぎる計画にはクビを傾げるところがありました。

元々、科学が「宗教の領域」=「創造」に入ってくることに危機感を感じて起こした行動にも関わらず、その行動によって科学と宗教の関係性が変化するとは思えなかったのは、切り口の強引さを表しているように思えます。

かつてアインシュタインが「時計職人になればよかった」と嘆き、カラニシコフが「芝刈り機でも発明すればよかった」と嘆いたのと同種の嘆きを呟く科学者に、「あなたのやってきたことは間違ってない。また仕事に戻って『世界を変えろ』」と諭すシーンが、科学の限界と無限性を同時に表現している気がしました。

そういう意味では、コンクラーベを題材にしている割には宗教色は薄く、ダ・ヴィンチ・コードに比べて、エンターテイメント色を強めた作りになっていました。次回作は、立ち位置が難しくて作れないんじゃないでしょうか?

0 件のコメント:

コメントを投稿