2010年8月6日金曜日

技術とビジネスのギャップ

「日本には技術はあっても、それをお客様に伝える力が欠けている」

よく言われる言説ではあるが、真理なんだろう。大前研一のようなプロから、渡辺謙のような素人までが感じる、わが国の閉塞感の元凶。それが、技術とビジネスのギャップだ。

そのギャップのベースにあるのは、『ビジネス』をどういったレベルで認識しているか、の違いではないかと感じる。ビジネスを、モノを売るだけと捉えるか、売った先にある世界を意識するかの違いとも言える。

某ゼネコンも、ライフサイクルパートナーと称して、ビジネスを広く捉える姿勢を取っているが、提供するモノの使われ方を継続的に提案したり、周りに拡がるエコシステムを構築したり、そういったプラットフォームを積極的にハンドリングしたり、という活動をする訳ではない。

つまり、いつでも体制を整えておくので継続的に仕事を下さいね、または、新製品も買って下さいね、ということでしかない。欧米の得意な、いわゆる『ビジネス』の形ではない。

根本的な違いは、メンタルにあると思う。とにかく日本人はケチくさい。

水平分業に象徴されるようなビジネスは、物事を大きく見れないとダメだし、Win-Win-Win---な関係を目指さないとダメだし、ギブアンドテイクではなくギブアンドギブンでないとダメだし、大きなモノを得るためには少なからぬモノを捨てなければならない。

日本人のように狭い心で商売していたら、当然自分だけ儲かれば良いという部分最適に陥る。プレーヤー全員がそんな気持ちで動いていたら、お互い疑心暗鬼になり、ベストを尽くさず、ほどほどのお付き合い、と言うことになる。自分に降りかかる作業は最小限に、メリットは最大限にという考え方が主流になるだろう。そして、同業での棲み分けは進まず、同じ様な商品を同じタイミングで作り出し、開発費を回収する間もなく、コスト競争に巻き込まれる。

エネルギー関連の動きを見てもそうだし、社内を見てもそうだ。こういうのを蛸壺って言うのかな。

技術だけでなくビジネスでも世界をリードしたいと思うなら、このケチくさいメンタリティーを何とかする必要がある。正直者がバカをみる社会、成功者が妬まれる社会には先がない。

まずは自らの立脚点を明確にすること。そこでの優位性を絶対的なモノにすること。そして、そこからの兵站を無闇に伸ばさないこと。しかし、エコシステムとしては拡がる形で仕様を公開すること。そして、そのエコシステムをデザインし、ハンドリングすること。

みんなの意見をよく聞き、みんな/大多数が納得/妥協できるポイントを探し当てる能力が必要だろう。

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