2010年8月27日金曜日

位置認識をアウトソーシングするか否か

従来の情報提供サービスは、サービス受容者の位置をGPSやWi-Fiなどを使って自動認知するという形で設計されていることが多い。つまり、自己位置認識に関してはアウトソーシングしているという事だ。

位置認識の自動化は、提供するサービスに注力できる事が大きなメリットだろう。

例えば食べログや30min.は、ブログなどのソーシャルな意見を集め、整理するプラットフォームであれば良い。こういったマッシュアップサービスは、既存のデータがフル活用できるのて、非常にクレバーなやり方だと思う。お店の場所は住所で、利用者の場所は例えばGPSで、それぞれ住所なり店名で結びつけて一つのサービスとして提供している。

課題は、利用するデータが公開情報ばかりなので、うまく行きそうなサービスは、すぐにコピーされることだろう。UI以外の優位性がないのが痛い。逆に、追い込むべきは極論するとUIしかないので、開発のスピードは早い。つまり、良さげなサービスほど競合が生まれやすく、ラットレースになるという特徴がある。

また、サービスとしては色んな意味で曖昧にならざるを得ない。

住所データは、お店の場所と1対1ではなく、指し示す場所が区画の中心であることが曖昧さの元凶だ。また、GPSは精度がイマイチで天候に左右される。実際、カーナビの精度はGPSとは別に速度計測、ジャイロ、マップマッチングと、様々な機能の組み合わせで成立している。Wi-Fiは電波強度を計測しているので、キャリブレーションが必要だ。つまり、どこでも使えるものではない、という点が課題だ。

一方Kozchiでは、各店舗に付与するメールアドレスに位置情報を紐付けているので、自己位置認識も内製化している事になる。

メリットはデータがシャープなこと。ココにいてアソコに行きたい、という行動に高い精度で追従できる。Kozchiでは中距離と呼んでいるが、目視できないけど近くにある店にアプローチする術ってのは、そんなに多くない。

そして、情報獲得にスキルが必要ない事が挙げられる。何でもそうだが、自動化されている仕組みを使った時にシステム側の認識の誤りってのはどうしても発生し、これを修正するのには、それなりのスキルが必要になる場合が多い。つまり、多くの人は間違いを間違いのまま受け容れるしかない。マイクロソフトオフィスで、自動的に設定されるグラフの色などを変えるのが意外に難しいことからも、自動化の弊害は割と身近に存在していることが分かる。

Kozchiでは位置認識の自動化をしない、つまり、"自分はココにいる"ということを自己申告することで実現している。

位置認識を自動化しないことは、利用手順に一手間付け加えることになり、サービス設計として不利なのは否めない。それでも、精度の高さがサービスの質を高めるとともに、万人にとって使いやすい仕組みになると信じている。

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