2011年2月21日月曜日

日本の強み

技術で勝って、事業で負ける日本の強みは「モノ作り」だと言う人が結構いる。今まで何回も書いてきたが、自分はそうは思っていない。

日本の真の強みは国民のセンスだと思う。または、美しいとか美味しいとかを感じる感性。その高い感性に見合う商品を提供しなければいけないし、芸術なども完成度を高めなければならない。

共通して言えるのは、ムダなものを削ぎ落とし、本質を浮き出させる、その見極め方が絶妙だという事。食べ物を見ても、日本食は非常にバリエーションが豊富で、かつユニークだ。どれも本質へ一直線で、余計なものを全て排除した先に、現在の形がある。

歌舞伎や俳句などの芸能もそうだし、空手や柔道などの武道、そして茶道、華道なども同じだ。

翻って産業製品は、いかにも過剰で、本質を未だに読み切れてないような節がある。にも関わらず、20世紀後半の日本が躍進できたのは、これらが本質を見出せるほど広い意味空間を持ち得ていなかったからかもしれない。

世界中の誰もが読み切れてなかったから、商品は機能が過剰であればあるほど、魅力を感じる主体の数が増え、それゆえに多くの人に受け入れられたのだろうか。日本は、二匹目のどじょうを狙う傾向が強いので、製品が多様化しやすく、それゆえ日本は競争力を生み出し続けられたのかもしれない。

そう考えると、日本の強みが国民の感性であることは間違いないのだが、全く異なる二つの方向性を持っている事が分かる。

・本質を削り出す感性
・多様な機能を作り出す感性

逆に、価値を生み出す感性や多様な価値観に合わせる感性は、あまり強くないように感じる。

このような感性が受け入れられるには、それぞれの文化に根ざした価値観である必要がある。その価値観が競争力を持っているのは日本の大きな強みであるが、その価値観が劣化しているのもまた事実だ。

今後を考えると、日本ならではの感性を磨く機会を増やす必要がある。それは、個人的にだけではなく、社会として高い感性を求めていかなければならない。そういった感性の交換を経て、高度化した価値観を発信できれば、世界のどこに行っても埋没する事はないだろう。

いつもコストパフォーマンスだけを重視するのではなく、自分の感性を育てるのに相応しいものに触れる機会を増やすことを意識しよう。

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