2011年2月25日金曜日

医療と建設業

村上龍のカンブリア宮殿を見ていて、医療と建設の抱える課題の類似性を感じた。

というのも、包括診療は医療の進化を止めるという、その現象はまさに建設業界で見られる悪弊だからだ。

設計と施工が分離されていると、それぞれに対価がつくので、設計は設計なりの施工は施工なりの付加価値のつけ方があるし、それぞれをベストミックスすることも可能だろう。逆に設計施工一貫だと、設計の穴埋めを施工が行うというような事になりやすい一方で、費用項目間での自由度が高いという特徴がある。

つまり、設計の上限、施工の上限が個別に与えられるやり方に比べて、設計施工一貫方式は、お金が潤沢にある時は自由度が高まる一方、財政状況が厳しくなると新しい事が取り組みにくくなる仕組みとも言える。

たとえば医療のように、掛かるコストがリジッドならばなおさらで、新しいチャレンジをすればするほど、報われなくなる。包括医療は右肩上がりの時には活用しやすい方式だと思うが、現在のように社会が停滞している時代には余りフィットしないのではないか、と想像する。

今後、医療が果たすべき役割は今まで以上に大きいことを考えると、医療の停滞は何としてでも避けなければならない。医療費を低く抑える仕組みや新しい医療を積極的に取り込める仕組みなどは必須だろう。そして、それを医者が考えるのは、筋が違うと思う。彼らは高度な技能労働者だということを忘れてはいけない。ビジネスモデルを考えるのは他の人の役割だろう。

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