2011年10月5日水曜日

正統進化

iPhone4Sが発表された。

A5プロセッサ、8Mカメラ、音声認識、au、そして、iPhone5が大方の事前予想だったので、サプライズがないばかりか、かなり期待外れだったのではないだろうか?その証拠に株価もかなり下がったようだ。

しかし、今まで何度か書いている、商品開発の3要素に当てはめると、今回の発表は予測できたし、正しい進化だと確信できる。

商品開発の3要素とは、コンセプト、デザイン、技術のことで、商品開発にはその3つの要素が大切であるとともに、どれか一つしか(大きく)進化させてはいけない、という原則があると考えている。

なぜなら、二つ以上の要素を動かすと、ユーザーがついていけないからだ。Windowsなんて悪しき例だと思う。進化の度にコンセプトを変え、デザインを変え、技術を変える。新しいだろとばかりに出されても、ほとんどついて行けず、未だに約10年前のOSであるXPを使っている人すらいる。

MacOSで10年前と言えば、OSXができて間もない頃だと思うが、10.1とか10.2を現役で使っている人がいるとは思えない。Windowsは全てを変化させるので、単なるバージョンアップなのにスイッチングのハードルが高い。なので、それぞれのバージョンで取り残される人がいて、それが様々な弊害をもたらしている。

Appleは、そこのコントロールが絶妙で、だからこそ在庫を残さず、利益率も高く、バージョンアップに皆が付いてきてくれる。ハードもソフトもOSも。そんな目で今回の発表を見ると、全く正しい進化だと言う事が分かる。革新と熟成を交互に行うことで、浸透とスイッチングをスムーズにしている。

今回味わった若干のガッカリ感も、おそらく来年6月に発表されるだろうiPhone5への一つのスパイスになるだろうし、CPUが強化されて使いやすくなると共に、auからも発売されるiPhone4Sは、意外によく売れると思う。来年、iPhone5が発売された後も。

ただ、iOSデバイスの種類が増えることで、革新と熟成のサイクルを維持するのが難しくなるのも確かだ。例えば、iPadでは革新だったものを半年後に発表するiPhoneに載せても熟成でしか無い、とか。

このサイクルを好循環させるには、ユーザーの期待を良い意味で裏切らなければいけない。つまり、ユーザーにできるだけ正しい想像をさせないようにしなければならない訳なので、iOSデバイスをバラバラと発表する事はできるだけ避けたい。

しかし、少なくともiPhoneとiPadはどちらも訴求力があるので、できれば別々に、半年ぐらい離して発表したい。となると、そこのバランスを取りながら、うまく革新を作りこんでいく必要がある。

絶好調のAppleはMacも含めて、革新のバランスを取る事が目下最大の懸案事項になるのだろう。贅沢な悩みだ。

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