2011年11月4日金曜日

TPP是か否か

TPPは簡単に言えば、国内市場は攻められ、海外市場には攻め込める「可能性」が高まる、という事だろう。つまり、国内市場がメインの業種は反対し、輸出産業は賛成する。

議論する上で、いくつかの切り口があるように思う。

例えば、日本経済における貢献度合いで言うと、農業に比べると輸出産業のほうが大きいので、TPP賛成となる。逆に、国内市場の荒廃につながるという視点で考えると、国内市場に留まっている産業は、生活や生命に関わるものが多いので、TPP反対となる。また、業を守りたいのか人を守りたいのか、という視点もある。農業 vs. 農家の構図だ。TPPに賛成したからといって、農業が荒廃するかどうかは分からないし、そうならない道もありそうに思う。ただ、従来の意味での補助金付けの農家は、かなりダメージを受けるかもしれない。

自由化によって国内市場がどのように変化するのか、また、変化への対応は可能なのか、を議論し道筋をつけていかなければいけないだろう。そして、変化への対応ができない領域があり、それが大きいか、極めてクリティカルで自由化しがたいと判断された場合にのみ反対するべきだと思う。

まず農業はどうだろう?
関税が撤廃されると安い米、肉、果物などがいっぱい入ってくるだろう。野菜は長距離を移動させるメリットがあまりなさそうだが。では、日本の米、肉、果物は競争力がなくなるのだろうか?米で考えると、TPP参加予定国で東南アジアは長粒種がメインなので、アメリカ米が対象だろうが、実質的にアメリカ米の生産量はさほど多くないので、日本の米農家に深刻なダメージがあるほどには入ってこないような気がする。肉や果物は既に多くが輸入品なので、今までと変わらないかもしれない。もちろん事業者にとっては問題だが...

同じように、金融、医療などを考えてみる必要がある。どうやら非関税障壁の撤廃がキーワードになりそうだ。自由競争の名の下で障壁になりそうなものが協議の対象になるようだが、国民皆保険を始め、多くの日本の制度は、その槍玉に上がる。つまり、日本社会のインフラというべき制度が破壊される可能性が高いのだ。

そして、別の問題もある。
TPPによる自由化は海外市場に攻め込める「可能性」が高まると書いたが、では、その攻め込むべき市場はどこかというと、現状で中心になるのは米国で、それって今までとほとんど変わらないんじゃないか、という議論もある。現在のところTPP参加を予定している国のGDPを足し合わせると90%が日米2カ国で、わずか10%程度を残りの8カ国が占めるらしい。TPPに入ると、アメリカが日本のものをいっぱい買ってくれるのかね?TPPに参加するということは、アメリカも市場を広げたいということだろうから、当然日本を攻めてくる。さて、どちらの力が強いか?

そして、最も大事なのは、TPPが不要と分かったときに脱退できる権利と、現時点での交渉状況の開示だろう。どうも事実上の途中脱退が不可能な仕組みのようでもあり、中身が分からずに加入するかどうかを決めるというのは、危険すぎるというか、あり得ない事なんじゃないだろうか?

ということで、一般によく言われている農業は、実はさほど大きな問題でもなさそうだし、グローバル化、自由化は賛成だ。でも、TPPの問題はそこにはなく、それ以外の枠組みやポリシーという面にある。TPPに日本が参加する意義、メリットは薄いような気がする。というか、TPP参加は大きな社会変革へのトリガーになるのは間違いなく、不利な方に転ぶ可能性が高いと思う。

TPP加入に反対します。

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