2012年6月4日月曜日

儲からない理由

会社が利益をあげて行くのに必要な考え方として、自ら引いた一線を守る、という事がある。

お客さんに提案する、ある一定の段階で仕様を明確にして、それに従った見積りをする。ここまでは当たり前だが、この後、その一線を守れるかが、利益率を大きく左右する。

様々な議論を重ねて行く中で、当初の仕様では不足する所が必ず出てくる。これを唯々諾々と呑み込む事で利益率は急落の一途を辿る。

対応策は二つで、仕様策定時の精度を上げる事と、追加的な仕様は別途予算としてもらう事だ。

前者は、ノウハウの共有や関係者の意識を高いレベルで揃える事や、何を第一とするかの明確な定義付けなどが必要となる。ここを疎かにすると、お客さんににも納得してもらえない。

後者は、自分たちが策定した仕様に対する自信と信頼、そして、お客さんとハードな交渉をする強い気持ちが大事だ。バランス感覚が問われる所でもある。

仕様を合意した後になって、お客さんよりも少し早く仕様の不備に気がついた場合に、自ら追加提案を当初仕様に盛り込む形で提案する人がいるが、個人的には正しいとは思えない。

建設業やSIerのようなプロセスを売り物にしている業態では、お客さんのためとか、お客さん目線で考える、といった美名の下で往々にして上記のような事が起こっており、それが利益を押し下げる要因になっている。

しかも、そういった行動を取る本人は、良かれと思ってやっていて、会社をダメにしている意識もない。これが当社のやり方、考え方だと言っている時点で、すでに思考停止していると言える。

利益率が上がらないと嘆きながら、自ら意図的に利益率を上げない行動を取っている事になる。

すっかり負け組扱いのソニーやシャープといったプロダクト系企業は、ちょっとした取組み方針の修整で力を取り戻す可能性が高いが、日本社会の、景気の良い時にしか通用しないメンタリティにどっぷりとハマっているプロセス系企業のドロ舟さは、筋金入りだ。

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