商品開発の二つの方向性は、当然マーケティングにも影響がある。商品の使用環境を想定し、提供者側のシナリオ通りにユーザーを誘導するのか、それとも、ユーザーの意見を逐次取り入れ、それらを反映させた使用環境を構築するのかだ。
前者は事前のマーケティングが、後者は事後のマーケティングが重要になる。メーカーは事前にマーケティングを重ね、万全のポジショニングから次の一手を繰り出す。電機メーカーもそうだが化粧品メーカーのそれも面白い。
ネット系は事後のマーケティングが卓越している。とにかくローンチしてダメなら捨てる、という流れが加速している。
ここに別の考え方を改めて持ち込んだのがAppleだった。商品企画のためのマーケティングではなく、ブランディングのためのマーケティングとして。
マーケットの声を聞くと、機能過剰になる事が多い。多様な人に一つの商品コンセプトについて意見を求めると、当たり前だが無数のリクエストが出てくる。その意見に振り回されるとそもそもの軸がブレる。ブレないようにしようとすると、そもそもユーザーの意見を聞く必要も無いんじゃないかという結論になる。
考えてみれば、ユーザーに意見を聞くマーケティングが重要なのは、ユーザーが潜在的に解を持っている場合だけだ。つまり、今までの延長線上に商品開発がある場合に限られる。
商品サイクルが短く、多くの商品で実現できる事が想像できるようになった現代においては、今までの延長線上に解がない事が多い。こういった時代に旧来のマーケティングでは十分に力を発揮できないのは当然だ。日本の電機メーカーの凋落、Appleの躍進がその証左だろう。
これからはブランディングのためのマーケティングが重要になるが、商品企画の未来は?
前にも書いた事があるが、モノの本質を厳しく問われる時代になってくると思うので、いかに本質を削り出すか、余計なものを捨てられるかが勝負の分かれ目ではないだろうか。
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