今日もまた、メイン議題の後にウダウダと答えの無い議論を続けていた一団がいた。
彼らの議論のベースは『万が一、お客さんからこんなリクエストを出てきたら、どう答えるか』というものだ。つまり、お客さんが気づかない、気づいたとしても「仕様です」と言えば納得してもらえるような事項に対して、「仕様」で逃げるのではなく、何かしらの答えを用意したいというもの。
彼らの言い分はいつもこうだ。
『お客さんの気持ちになって考える』
『お客さん視点で考える』
このように言われると、その不毛な議論にも何らかの答えを用意しないといけなくなる。別にお客さんの事を考えていない訳ではないが、コストとスケジュールと商品仕様を考え合わせた時に、その『万が一』という懸念は検討する意味を持たないと判断する場合に於いてもだ。
通常、期待を越える価値というのは、こういった『万が一』に事後的に対応する事ではないのは明らかだ。
なぜならこの行為は、期待を越える事が目的ではなく、単にクレームの量を減らしたいがための行動だからだ。本質的な仕様に関するアップグレードのための提案ではなく、重箱の隅をつつくがごとく細かい、将来何らかの意見が寄せられる可能性のある事項への、モグラたたき的対応だからだ。
例えて言うなら、11inch Macbook AirにSDスロットがない事に対するクレーム対策として、サードバーティ製のUSB-SDアダプタをバンドルするようなものだし、RGBディスプレイ端子がない事に対するクレーム対策として、筐体デザインを一部変更して、無理矢理RGB端子をねじ込むようなものだ。もっと言えば、取説がついていない事に対して、販売店で取説を作るように指示するようなものだと思う。
MacbookAirユーザーが、このようなクレームを出す可能性は低いが、ないとは言えない。万が一に備えて、クレーム対策を用意するか、仕様だと言って納得してもらうか、アップルが出す方向性は考えるまでもないだろう。
こんな議論に何時間も費やし、その対策にさらに何時間も費やしているのだから、日本企業は生産性が低いはずだし、こんな下らない議論のために週1~3日も出張してるんだから、利益率も上がらないのも当然だ。その結果、お客さんの期待を大して越えないんだから、報われない。
2012年6月15日金曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿