2009年10月9日金曜日

再生可能エネルギーの適用

スマートグリッドと呼ばれる電力供給網の新しい考え方がある。

今まで、電力会社が供給する系統電力以外に使える電力源は、ほとんどなかったのだが、昨今の技術開発により、例えばマイクログリッドのような、独自安定電力源を確保することが、コストの問題はあれど、可能になった。

ここで使われるグリッドとは、いわゆる電力網のことであり、マイクログリッドは小規模電力網、スマートグリッドは賢い電力網、ということになる。スマートグリッドの特徴は、太陽光や風力などといった自然エネルギー、再生可能エネルギーをその系統内に取り込んでいることにある。

エコ、CO2排出抑制といった観点では理想的な、これら再生可能エネルギーも、系統電力の安定供給という観点に立つと、問題児でしかない。

日本の電力品質は世界一で、例えば年間停電時間といった指標で見ると、他国の追随を許さない。そう言えば、先日観た「96時間」で、主人公が悪人を追い詰め、電気ショックで拷問するシーンがあったがその際、「かつて発展途上国では系統電力が安定しないので電気ショックは使えず、他の拷問方法を使ったものだ」と言っていたのを思い出した。ともあれ、アメリカが1時間ほどもあるのに対して、2〜3分程度と言うから、十分に高品質だ。仮にスマートである事のゴール指標に、電力品質があるなら、日本の電力はすでにスマートと言えてしまうのかもしれない。

その電力品質を担保するのが、読める電力源の最適連携とでも言うべき、系統管理にある。安定的に電気を作り出せる原子力や水力、需要の変動に追従できる火力、余剰電力のエネルギー置換を行う揚水式水力、と見事に読める電力源の組み合わせで、需要に対応している。

ここに再生可能エネルギーが入るという事は、火力もしくは原子力の代替を意味するが、お天気まかせの再生可能エネルギーに安定性も変動追従性も期待できない。何にも置き換えられない電力源は、ただの余剰電力でしかなく、有効に活用することができない。このことは定格電力を見ているだけでは分からない、再生可能エネルギーの活用に向けた大きなハードルだと思う。

結局、再生可能エネルギーは電力品質とは二律背反の関係にあり、化石燃料の使用量を減らすには、ある程度の電力品質低下を覚悟する必要がありますよ、とキッチリ説明し、理解を求めなければならない。江戸時代に戻る必要はない。ただ、年間停電時間を30分程度許容するだけかもしれない。

しかし果たして、極めて共同体意識の弱い日本人に、受け入れることができるのだろうか?

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