2010年7月14日水曜日

チームの温度を下げない

plan do seeの社員心得の一つに「チームの温度を下げない」というものがあるらしい。(日経ビジネス2010.6.28 p29)

その行動規範というか作法は、「仕事場のドアを開ける前に自分のテンションを一度上げること」「常に仲間をモチベートすること」「どんな会話も否定から入らないこと」といった事のようだ。

最近、一橋大 野中名誉教授の講演を聞いた。前半はSECIモデルを使って、知の結合による新たな知の創造のような話をされていた。最近は特に実践知というのを重視しているらしく、その高め方としてホンダが提唱しているワイガヤの効用について熱を入れて説明していた。

マネジメントを論理的に体系化する手法はこれまで様々作られてきたが、結局最後は人のつながりがカギになる、というのは興味深い。

多くの日本企業はバブル崩壊と相前後して、論理的なマネジメントを志向する傾向を持ち、人のつながりを排除する施策を取り続けている。その多くが今、存亡の危機にあると言える。

福利厚生の縮小は従業員からウェットな関係・意識を捨てさせ、会社への帰属意識を薄れさせた。成果主義は個人プレーを助長し、チームワークという言葉を有名無実にした。四半期評価は短期での実績にフォーカスする事で、長期的な視点を失った。

そして今、高名な経営学者も昔に帰ろうと言っている。昔の日本企業が持っていた労使一体化したウェットな関係が、マネジメントにおいても、イノベーションにおいても重要である、と。

plan do seeの行動規範のように、チームの温度を下げないために、個々人ができる事をもう一度見つめ直して、個人と個人、個人と会社の関係を仕切り直せば、会社は良いようにしか変わらないだろう。

ただ、既に舵を切ったタンカーのように重鈍な大企業にそれを求めるのは無理がある。なぜなら日本の多くの企業は、変化する事をDNAとしてビルトインされてないので、自らが自律的に変化していく事ができないからだ。変われるのは、前任者を否定できるタイミングで、トップダウンでドラスティックにというのが、歴史の教訓だろう。

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