2010年7月26日月曜日

ビジネスの立ち位置と方向性

「どんなビジネスでも、上質とお手軽の二択でどちらを選ぶのか、その方向性を明確にしなければいけない」とは、「トレードオフ」というビジネス書の内容。まだ購入していない。

最近、色んなセミナーに行く機会がある。主にエネルギーやイノベーションが主題のものだが、導入部分として共通しているのは、現在の日本が直面している閉塞感。その閉塞感の原因も解消方法もほとんど一致している。ビジネス的なセオリーで言うと、満場一致に近いような解は正しくないハズだが、どうなんだろう?

良く言われるのが、「技術で勝って、事業で負けた」という事。そして、その解決方法はインテル・インサイドか、アップル・アウトサイドか。いずれにせよ「コアを握って周りを振り回せ!」と言うのが、勝利の鉄則らしい。

別の視点から「イニシャルからランニングへ」というのもよく言われる。技術が主導的な時期はイニシャルで稼ぐ事が優位だが、ビジネスモデルが主導するタイミングではランニングで儲ける必要がある。当たり前だ。

両者は結局同じ事を言っている。

うまくやっている国や企業を横目で眺めて、「ああすれば、うまく行くハズだ」と評論する事は簡単だが、そこには高いハードルがある。今までイニシャルで収益を上げてきた企業がランニングに移行するために切り捨てなければいけないモノもいっぱいあるのだ。垂直統合を水平分業に変える時も同じだ。

今まで技術で食ってきた人に、もう技術はサチっちゃってるんだから、新しい技術を作ろうとせず、枯れた技術の組合せを考えて、それに儲かるビジネスモデルを被せなさい、と言うのが正しいのか?そして、可能なのか?

サムソンでは、リバースエンジニアリングから商品開発が進むそうだ。新しい事は何もない、と。そして、リバースのリバースはフォワードでしょう、という解釈をしているようだ。

先日のセミナーでは、そんなサムソンに完敗している日本企業は、新しい技術を開発しようと躍起になるのではなく、リバースに専念するべきだ、プライドや先入観は捨てろ、という事を強調していた。だが、全てのプレイヤーがリバース志向でビジネスを考えた時、技術の向上や価格下落からの脱却は、どのように、誰が成し得るのだろうか?

日本企業は何でもやろうとして、また、何でもできてしまうので、結果として全てが中途半端になってしまっている。全部をやろうとせず、うまい役割分担を目指して、コアの部分を握る。それが、水平分業だと思うが、そのためには自分がどこのパートを担当して、そのパートに関して他の誰よりも上手くやれる事を証明しなければならない。

技術に特化して高級路線を追求するのか、それともリバースエンジニアリング主体でお手軽路線を突き進むのかは、企業もしくは事業単位で方向付けしておく必要があるだろう。

そのいずれの路線においても必要なのが、ビジネスモデル、つまり儲けの仕組みを作る能力・機能だ。自社の得意領域を見極め、追求するとともに、それ以外の領域を大胆に捨てられなければならない。

アップルも大きくなって、全てを自社リソースで賄う内製化を進めているが、これは、大きな会社だけが取り得るリスキーな作戦だろう。一歩足を踏み外せば、資産を積み上げている分だけ、坂道を転げ落ちるスピードも速い。

一般的な企業は、立ち位置(どの領域を担当するのか)と方向性(高級/お手軽)を明確にして、目的とともに、常に振り返る必要がある。

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