2010年7月16日金曜日

ブレーン・ハッカー

なかなか面白い本だった。「ブレーン・ハッカー -巨人の「肩」に乗れ!-」

自分の考えに近く、全く違和感がないので、ある意味、新鮮味も少なかった。が、考え方が整理されているので、自分の頭の整理にも使えて、有用だった。

この本で言いたいのは、「本当の意味でオリジナルなアイディアなどない。独創性とは、他の概念の上に構築されるものだ」という事。だから、他の概念からうまく流用、転用、援用するやり方を提案します、というスタイル。

自分もオリジナルなアイディアなんて、世の中には無いと思っている。あったとしても、他の人には理解できないから、日の目を見る事はないと思う。多くの理解者が必要な「ビジネス」という領域ならなおさらで、元となるアイディアをメタファーとして、使い回して行く事が大事になるだろう。

その意味で、本書で示される6つのステップは分かりやすいし、思考のレールとして有用だと思う。

曖昧にしがちで、でも曖昧にすると決して解が得られない第1ステップ「定義する」がもっとも大事だろう。

解決しようとしている問題は何なのか?範囲が広すぎるとボンヤリして解に辿り着かないし、狭すぎるとただのToDoになってしまう。適切な大きさの問題を定義する事が大切だ。

突如として話は飛ぶのだが、以前に読んだ任天堂岩田社長、糸井重里、梅田望夫の3者対談でも同じ事を言っていた事を思い出した。確か、エンジニアは皆、目の前にある問題を解決したがっている。それは本能のようなもので、解決せずにはいられない。ただそれが、適切な大きさの問題でないとダメで、適切に切り分ける能力こそが大事、みたいな話だったと思う。

本に戻ると、次は「借りる」というステップになる。同じような問題を抱えて、しかも解決している業界や商品やサービスを、想像力を最大限に使って広く探してくる、という事。そして、それらをメタファーとして認知し、組み合わせる。ここで、認知レベルをあげる事も一つのコツだろう。

で、しばらく寝かせる。。。
複数の業務を同時進行していれば、自然と寝かせる期間を作る事になるので、できればいろんな事に首を突っ込んで、思考を入れ替えながら進めるのが、良さそうだ。

しばらく頭を冷やした後で、冷静にプラスとマイナスを考える。ここでは極端に判断する必要があって、中間的で中庸な意見は必要ないだろう。冷静な、そして要素分解的な分析の上で、直感的で総合的な判断を行う。

そして、これらを繰り返す。

オリジナルなんて無いんだよ、模倣が大切だよ、としつこく迫るので、人によっては、やや素直に受け入れ難いような部分もあるかもしれないが、総じて真っ当で普遍的な考え方だと思う。

あと、洋書の翻訳本によくありがちだが、言い替え、繰り返しがすごく多い。多面的な理解を深めるには良いが、ややかったるい。

まあ、それを差し引いても良書だと思う。

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