2010年11月19日金曜日

スマートグリッドにおける電力と建設の接点

需要者に求められる品質に関して、一定であることが前提だったり、一定でなければビジネスの土俵にも上がれない場合、供給者が取れる動きは限られている。

例えば本屋の場合は、商売のネタとなる本の品質は、普通の新刊本を扱う本屋では、どこでも一定だ。本の品質に揺らぎがある時は落丁と判断され、商売のルートから外れる。

こういった商売は通常、その商圏を明確にする必要がある。差別化要因の第一が「身近」という事だからだ。地域一番店である必要があって、どの程度の地域で商圏を設定した時に一番と言えるのか、が勝負だ。

また、本来のコンテンツ以外の要素を含める事で、競争の焦点をズラすやり方もある。

最近だと、喫茶店とくっついて、ゆっくり本を読めて選べる本屋も見かけるし、ヴィレッジバンガードのように雑貨との組合せを志向している本屋もある。

つまり、固定ニーズビジネスであっても、変動ニーズビジネスと組み合わせる事で、少しの揺らぎを得る事ができて、それが差別化ポイントになりうるということだ。従来の本屋ビジネスは固定ニーズ対応型だったのだが、段々と変動ニーズからの需要者を取り込むべく、ビジネスの形を変えてきている。

建設ビジネスは、自分たちではラーメン屋型つまり変動ニーズビジネスだと思っているが、需要者から見たら本屋ビジネスすなわち固定ニーズビジネスであり、外に見えてこない業者間の品質差は何の差別化ポイントにもなってない。コストとスピードだけが勝負の世界だ。

電力も同じだ。一定の品質が求められる中で、地域の一番店を目指さないといけない本屋ビジネスだ。現在の統制された地域会社のみが存在する状況ではあまり関係ないが、スマートグリッドが普及すると共に、電力は自由競争産業になるかもしれない。

その時に、本来の電力事業者ではない企業が、電力事業者になるためには、ヴィレッジバンガード化するしかないだろう。その時のポイントは変動ニーズビジネスと組み合わせる事だと思われる。

最近、ゼネコンがスマートグリッドへの参入機会を伺っているようだが、電力と建設との間に何らかの変動ニーズビジネスをかませないと、互いにとってデメリットしかないのではないだろうか。固定ニーズビジネス同士のコラボに、あまり未来があるようには思えない。

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