2011年7月13日水曜日

今まで見逃されてきたセグメント(1)

集客という観点で、今までほとんど相手にされてこなかったセグメントがある。客という個人に関して言うと「近くを通る人」だ。お店の近くを通っている人というのは、ネットが得意とする距離感に合っていない。

ネットのサービスというのは、情報がどこかのサーバーに保管されており、それをダウンロードして活用するというスタイルがほとんどだが、最も特徴的なのは距離という概念がないということだ。世界中の情報が瞬時に行き交うネットの世界と、認知空間として半径15mほどのリアルの世界は、あまり整合しない。

なので、グルメ系サービスのようにPCの前に座って東京にいながら新潟の情報を見るという用途には向いているが、すぐ裏の通りにあるかもしれないB級グルメ店の情報を歩きながら得る事は難しい。

とは言え、最も来店してくれる可能性があるのは、近くを通る人だ。ランチを食べるのに、新宿にいながら銀座の店を探す人はほとんどいないだろう。薬を買うのに、上野からわざわざ渋谷に移動する人はいない。

このように一般的な商店では、地元に密着した商売を営んでいるハズなので、想定する商圏は狭く、半径1kmぐらいのエリアに居住している人が中心になるだろう。もっと言うと、半径100〜300mほどの至近距離を通る人が、利用者の大半を占めると考えられる。

この狭い商圏に対して効果的に訴求する手段は、ほぼチラシ配りか新聞折込ぐらいしかない。ネットを活用した施策は、逆に訴求範囲が広すぎて効果が薄まる可能性が高い。そして、客の立場に立つと、任意の地点で近くのお店を知る手段は、ない。

近くを通る人にネットから情報を送り込むには、以下の4点が条件を満足していなければならないと思う。
(a) 対象となる人が、「そこ」にいることを確実に正確に捉える
(b) 対象となる人が、何らかの購買意欲を持っていることを見極める
(c) 必要な店や施設が、自らの情報を確実にネットに上げておく
(d) 対象となる人が近くを通る時に、タイミングよく情報を出す

これって意外に難しい。
(a)に関して言うと、GPSは精度があまり高くなく、また屋内で使えない。(c)は理想を言えば、あらゆる店や施設が掲載されているべきだが、現状ではクーポンが使える飲食店が中心だ。さらにクーポンも、従来のネットの距離感で出したいクーポン(来店促進用)と近くを通る人に出したいクーポン(買い回り促進用)は、種類が違うと思う。

近くを通る人は、まだネットに最適化されてないセグメントの一つだと感じている。

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