2011年7月29日金曜日

今まで見逃されてきたセグメント(2)

前回は客という個人について、感じていることを示した。最近は徐々に焦点が当たりつつも、中々決定打がないという状態じゃないだろうか。Google Offers、Facebook Checkin Coupons、Groupon Nowといったサービスが出始めており、それらのコンセプトはいずれも「その場所に行ったとき、近くのおトクなお店が見つかる」というものだ。

このコンセプトはおおむね正しいと思うが、人は決しておトクなお店だけを探しているわけではないし、ネットに載るような「おトク」を打ち出せるお店も多くはない。

近くにいるという前提条件の中で考えると、おトクというのは強い訴求要因にはならないことが多いと思う。

ネットで殊更に「おトク」を強調するのは、ネットが空間を越えるメディアだからだ。つまり、二子玉川に住んでいる人にとって、新宿のお店と飯田橋のお店は、ほぼ同列の選択肢になるだろう。そのような条件で検索によってお店を選ぶ場合には、おトク情報などで人を惹きつける必要がある。

では、すぐそこにいる人に対しても同じような選択肢の量があると考えた方がよいのだろうか?そこには、ネットを活用しながらも、純粋なネットサービスとは異なる状況があると考えられる。

多くの場合、近くにあるお店の数は、そのカテゴリーごとに1~3軒程度だろう。繁華街の居酒屋なんてのは例外かもしれないが、それでも焼鳥、刺身、焼酎など得意分野を絞っていけば、競合店っていうのは通常多くない。そして、お客となるべき人たちも、多くの選択肢の中からお店を選ぶというよりは、行きたいお店のカテゴリーを選ぶ、という方がニュアンスとして正しいように思う。

つまり、「おトク」が行動のきっかけになるほど選択肢が多くないというのが「近くのお店」というセグメントの特徴だろう。

そのように考えたときに、現在の近くのお店を探す仕組みは、正しく機能していないだろう。というのも、ネットにある情報は先に書いたように「おトク」を中心とした切り口でしか構成されていないからだ。そしてネットに情報を効果的に載せるためには結構なコストが掛かるため、利益率が低かったり、商品単価が安かったりすると、ネット上に存在し得ない。

今、ネット上に存在する情報、特に「おトク」を中心とした情報に付加する形で「近くの人」に対して意味のある情報を提供できることはないだろう。一部に人には受けるだろうけど、それ以上ではないと思う。

街を便利にするには、あらゆるカテゴリーのあらゆるお店が対象とする必要があるが、現時点においてネット上に存在しない(ことになっている)お店は多い。これらをうまく俎上に乗せてあげることが、最大の課題といえる。

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