2012年4月4日水曜日

あまり賛同できない地震・津波予測

先日、南海トラフに起因する地震・
津波の予測がバージョンアップした。マグニチュード9.1、場所によっては30m以上の津波が、地震後2〜3分ぐらいで襲ってくるらしい。

予測に関わった研究者は、想定外が起こり得ない最大限の予測を行ったと、胸を張る。これって正しいのか?

想定地震は、未だかつて経験した事のない、正確にいうと記録には残っていないレベルのものだ。貞観地震でも1000年以上前で、地質調査がどこまで進んでいるか分からないが、もしかしたらそれより一桁か二桁、つまり10万年単位かも知れない。

翻って、人の一生は80年、建物の寿命は通常30年ぐらいのもので、70年を超えると重要文化財候補に挙がる。ようやく復原工事が終わりそうな東京駅が、ちょうど100年前の鉄骨煉瓦造だ。

100年保てば、文化・文明の継続性としては十分じゃないかと思える。

100年前は明治から大正に変わる時期。建物は木造、着るものは和服、下着は褌、夏は団扇、冬は火鉢だ。そういった文化も残ってないのに、それ以上の期間に亘って安全性を担保する必然性なんて、ない。そもそも街に千年・万年単位の永続性を求めている人なんていないだろう。

もちろん一部には必要な情報だろう。例えば、原子力関連施設や政府の機関にとっては。

そういった仕分けをする事なく、一般に情報を垂れ流すことは、間違った判断ではないだろうか?もしやるとしたら、対策コミで発表すべきだろう。そうしないとイタズラに風評被害を撒き散らしてしまうだけだ。

新島なんて、完全に津波に飲み込まれてしまい、島が分断されるのだが、海を過剰に恐れて生活できる場所ではない。沼津も高台移転が議論されているらしいが、30m以上も高地に移転するなんて、正気の沙汰とは思えない。10万年に一度を恐れて、直近の生活を捨てることになる。そんなの合理的な判断じゃないし、海があるのに近付けない沿岸部なんて、誰も住まないだろう。

明日、10万年に一度の地震・津波が来たとする。今回の想定以上だった場合は、やはり「想定外」としか言えないだろう。

東日本大震災でわかった事は、全てを想定内にするのではなく、想定外の事が起きた時にも適切に対応できるようにしておこう、と言うことだったと思う。

その意味で今回の発表は、震災から何の教訓も得ていないと言える。リスクをゼロにしようとする、絶対安全志向は方向性として正しくない事が立証されたばかりではなかったのか。この予測発表に関わっている人たちのインテリジェンスを疑うほかない。

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