2012年4月2日月曜日

電気の使い方のルールが変わる

もうすぐ日本から原発がなくなる。そして、しばらく動く気配はない。今の政府のやり方はあまりにも短慮で、組織や体制を変えず、事故の原因究明も碌にしていないようなので、当面の再稼働はあり得ないだろう。

そうすると、電気の使い方が変わる。

今までは夜間の電気代を安くして、そちらにデマンドをシフトさせるような事が主流だった。いわゆるピークシフトと呼ばれるもので、蓄電池やエネファームのようなものだったり、電気自動車の有効利用だとか、そんなアイデアだ。これは、総電力量(kWh)としては変わらないが、必要となるタイミングの制御して、なるべく均一な供給量(kW)で賄えるようにする考え方だ。発電設備は通常、ピーク電力量に合わせて用意されるので、ピークが下がるということは発電設備を削減できる、ということになる。

この考え方の根幹にあるのは、夜間電力が安く供給できるということで、これは原発の特性に依存している。つまり、一旦動き出したら容易には止められず、一定量の安定供給を安く行える原発由来の電力があるからこそ、夜間には安い電力が余ることになる。

逆に原発が止まると、夜間の安い電力という考え方は消滅する。

需要に応じてフレキシブルに対応できる火力発電の特性を考えると、昼間の方が運転効率が高い(=電気代が安い)事も考えられる。日中は、さらに高い太陽光発電が入ってくる事を考えると、相対的に夜間が安くはなるが、太陽光発電の導入意義を鑑みるとおかしな話なので、FITによって火力同等に抑えられるのだろう。そうすると、昼も夜も火力発電単価をベースに計算する事になって、特に夜間だから安いという事にはならない。政策的に夜間を安くする事はできるが、その分は昼間で補填する事になるので、納得が得られるとは思えない。

脱原発によって、電力ポートフォリオを変える事は、今までの行動様式を変える事に直結する。夜間電力を組み込んだ様々な取組みは、全てムダになる。これからは、自由に使いたいタイミングで電気を使う事が、求められるのかもしれない。

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