2012年4月13日金曜日

映画月間(iTunes)

出張も多かったので、その移動の合間に、iTunesで映画をダウンロードして、iPadやiPhoneで楽しんだ。

■幸せの隠れ場所
「マネーボール」のマイケル・ルイスが原作の、アメフト選手マイケル・オアーの物語。「インビクタス」や「サッチャー」もそうだが、ノンフィクションものに対する日米のスタンスの違いを感じるのは、登場人物の名前だ。洋画は実名が中心なのに対して、「はやぶさ」や「陽はまた昇る」などの邦画は仮名を使うのはナゼなのだろう?

それ以上に、日本ではありえないストーリーに驚いた。

比較的裕福な家庭の子弟が通うミッション系の高校に、ある時、(1)出生届すら存在しない黒人の子どもが入学する。(2)半ばホームレスなその子どもを見かけた、ある裕福な白人家庭の奥様が、(3)家に招き入れ、(4)最終的には養子にしてしまう。その子どもは飛び抜けた運動能力と保護本能を持っており、それゆえ、(5)アメフトでその才能を開花させる。アメフトの有名校からのオファーがたくさん届き、結果的には保護者たる白人夫婦の母校に入学することになる。(6)その進学が全米大学協会?に見咎められ、尋問を受ける。「(7)あの白人夫婦は、自分の母校に強い選手を入れたくて、お前を養子にしたんじゃないか?」と。。。そして、その黒人の子どもは、(8)全米でも屈指の名選手として現在もNFLて活躍している。

全体に愛に満ちた良い映画なのだが、(1)から(8)のどの事象も、たぶん日本ではあり得ない。これが実話なのだから、アメリカってスゴイ国だ。

■ハートロッカー
イラクに駐留している米陸軍爆弾処理班の話。

終わりのない戦場に神経をすり減らし、一年の任期を終えるのを指折り数え暮らす兵隊と、その緊張が病みつきになり、冒険的な行動を繰り返す兵士の物語。

戦争は全ての人の精神を蝕む「麻薬」のようなもので、登場人物は徐々に病んで行く。これが戦争のリアルなのかも知れないし、そうでないかも知れない。

全くもって希望のない映画だった。

■ミッドナイト・ラン
賞金稼ぎとお尋ね者のバディストーリー。警官崩れの賞金稼ぎが、会計士崩れのお尋ね者を追う。ここにチェイスはなくアッサリ捕まる。

移送中に起こる様々なできごとが二人の距離を近付け、ややストックホルム症候群のような状態に。ただし、どちらが犯罪者に近いかは微妙。逃げられたり、別の賞金稼ぎに奪われたり、鈍臭いFBIが派手に追いかけてきたりと、ゆる~い追いかけっこが続く。

中でも面白かったのは、FBIに車で追いかけられ、道を外れて荒野を進む場面。この監督は宮崎アニメのファンなのだろう。あり得ない数のパトカーが追いかけてきて、荒野のあちらこちらでひっくり返る。ルパンと銭形のいつもの光景が実写になってる感じ。

最後はそれぞれのハッピーエンドを迎える。安心して見られる、微アクション・微コメディの傑作。

■39
妹を殺された男の復讐劇。刑法39条が生み出す歪みを描いた作品で、非常に印象的な森田芳光監督作品。
刑法39条とは、「1 心神薄弱者ノ行為ハコレヲ罰セズ 2 心神耗弱者ノ行為ハソノ刑ヲ減刑ス」というもので、犯罪被害者遺族にとってはやりきれない条項だろう。

妹を殺した犯人(A)が刑法39条によって半年ほどの入院で刑を終えた事を知った主人公(B)は、刑法39条を逆手に取って周到な準備の上で復讐を図る。精神分析の本を読みあさり、どのような回答・受け答えが適当かを事前にシミュレーションする。多重人格障害を発症しそうな生い立ちをもち、秘密裏に葬られた人間(C)を探し出す。何者かに追われて別人(D)になりたがっている人を見つけ出す。(B)は(C)になりすまし、(D)に自らの戸籍を売る。(C)になった主人公は既に(A)との関係が表面上はなくなっており、(A)に復讐を果たしてもその関係を疑われる事はない。そこで精神障害を装えば、刑法39条によって減刑される、という作戦。

結局は僅かな綻びから全てが明らかになるのだが、法律の条文が持つ冷酷さと、社会的弱者に対する間違った優しさによる歪みが被害者・加害者に歪んだ影響を与えて、誰の心も解放されずに怨恨の連鎖を生み出す。

普段は触れる事のない社会的な歪みを捉えた作品。

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