先日、iPhone4が発表された。リーク通りの製品で大きな驚きはなかったが、やはり正式にジョブズの口から発表されると、ワクワク感が全然違う。
今回のWWDCは、MacもiPodもiWorksもAppleTVもMobileMeも何にもなかったようだ。iPhoneのみ。今後、WWDCのようなビッグイベントではない日常の報告で、ビッグアップデートが目白押しなんだと思うと、これからの楽しみも多い。
一方で、ビッグイベントには「アップルはこういう会社ですよ」「こちらを向いて進みますよ」ということのアピールの意味も強い。その観点でiPhoneOSがiOSとなり、このタイミングで発表されたのは意義深い。
MacOSはSnowLeopard以降、サバティカルとも言うべき充電期間に入った。もちろん現状プラットフォームとして必要な機能は網羅され、洗練され、一定の完成度を見たという事だろう。
パーソナルコンピュータという一つの使い方が完成し、コンピューティングの歴史の一つの幕が降りた、という事かもしれない。そうすると、このパーソナルコンピュータの歴史は実質的にジョブズが開いて、ジョブズが閉めたという事になる。
iOSは新時代に向けた決意表明のようなもので、これから時代はクラウドへ、モバイルへ突き進んで行くことだろう。
ごく一部の人が使うマシンと、その他大勢が使うマシンは明確に分けられる。今まではなぜ、高機能、多機能なマシンがもてはやされてきたんだろう。何でもできるけど、一部の機能しか使わない無駄なマシンはいらない。
何でもできるマシンのためのOSは完成した。次は使い方/使われ方を絞った必要な機能、品質を備え、十分に安いマシン向けのOS、すなわちiOSだ。
iMac以来、"i"はコンシューマー向けのアイコンだ。プロは"MacOS"、コンシューマーは"iOS"。
基調講演の終わりに、ジョブズはこう言った。「アップルはテクノロジーだけの会社ではない」と。
もう技術だけで、どうこうできる時代じゃ無くなったんだろう。オープン・テクノロジーがインハウスのものより多機能・高品質であれば、なおさらだ。
そして、コンシューマーは移り気だ。何でもできる必要はないが、できる事にはこだわる。まさに、人々の生活シーンから未来を志向するアップルらしい立ち位置と言えるだろう。
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