2010年6月18日金曜日

リアルとネット

リアルとネットの対立軸の文脈で語られるのは、スーパー、デパート、コンビニなどばかりだ。でも、本当にネットとリアルの狭間で日々戦っているのは、個人商店や商店街だと思う。

飲食店はネットを活用し、なんらかの検索に引っかからないと、特に都会では存在しないも同然だし、物販店はより深刻な問題として、ネットの競合店が強い。

ネットは品揃えも豊富で、情報も整理されているので、目的を持った買い物には適していると思う。

何か欲しいもの/気になるものがあって、ボンヤリとでもキーワードが分かっていれば、目当ての商品に辿り着くのは簡単だ。類似商品の比較もできるし、配送までしてくれる。リアル店舗にはなかなか手の届かないサービスだと思う。

一方でネット店舗にも弱点はある。中身や手触り、大きさなどは、なかなかネットでは分かりにくいし、品質も分からない。家具なんかでも表面の感じや引き出しの感触が想像と違うとか、カニを買ったら思ったより小さかったなんてことは、皆が経験していることではないだろうか。

また、検索やリコメンドでは、ある関連性を持った商品しかでてこない。つまり、歩いててふと見つけたとか、目当ての商品の隣に置いてある商品が/も欲しくなったといった、日常的な買い物風景には追従できていないと言うことだ。

こういった領域では、まだまだリアル店舗の優位性は揺るがない。が逆に言えば、このような領域に注力しないと、リアル店舗の未来は無いとも言える。

(1)つまり、中身や手触り、品質をお客さまに見えるようにする事が大事で、対面商売である以上、そこはこだわり抜く必要があるだろう、と言う事。

(2)もう一つは、ついでの買い物を加速させる仕組みを持つ必要があると言う事。同じお店の中にある商品をついでに買ってもらうには、今までよりも意識的でシビアな商品選定や並べ方の工夫が必要だろう。

(3)さらに、お店をまたいで「ついで買い」を促すには、周りにどのようなお店があって、どのようなサービスを提供しているのかを知らせる必要がある。しかも、そのお店の顧客でもない、目の前の道を歩く人々に。

(1)(2)はお店の努力次第という側面が強い。(3)は1980年代くらいまでは商店街という枠組みが担うべき機能だったのかも知れないが、今やそれを期待するのも酷なぐらいに弱体化しているのが実態だ。

(3)が弱まると必然的に(1)(2)に強い店舗が単独で活動し始めることになり、ますます(3)の必要性が薄れて行くことになる。つまり、飲食店、美容院、チェーン店など強いお店だけが生き残り、個人商店は衰退するという図式が完成する。

しかし、最近よく見かけるシャッター商店街を見ると、この図式は正しい未来を指していないことが分かる。強くなれない弱い個は見捨てられ、強い個だけが残ると、結局その生態系は破綻することになる。これは、自然の摂理だろう。

大事なのは、弱い個も強い個もお互いに助け合いながら、全体系として発展して行く豊かな未来を志向することだろう。そして、個の利益と全体の利益は、背反したり無視したりするものではなく、同時に追求するべきものである、という認識を共有する事が大事だと思う。

そのためには、お店がお互いに繋がり合う事から始めるしかない。

Connecting the Shops.
http://www.kozchi.jp/

2 件のコメント:

  1. はじめまして、コメントさせていただきます。私どもは、昭和50年代に振興組合を設立させ当時としては、練馬・高円寺・富士見台と中々ローカルなエリアでありながら賑わいな商店街を・・・しかしながら店主の世代交代やテナント経営者と大家さん不動産屋さんとの契約更新時での折り合いが付かず閉店するお店が・・2.3店の歯抜けが・・今や半分くらいがシャッター通りになってしまった。その大きな問題は、協調性が欠けたこと・・不況になれば個店を守る保守的な力が働き協力しあうということをしなくなる
    商店街事業が一部の人間にシワ寄せになる付加がかかる。
    生産性が落ちる事業が縮小する人が来ない売上が下がる益々自店防衛化するの衰退スパイラルで悪化の一途をたどる・・・。これは一つの考え方でもありますが、資本力のある大きなお店が数店まとまり中堅のお店と協力しあい弱小企業を牽引する構図が、いつの頃からか大きなお店が中堅なお店を牽引するようになってしまい弱小企業を見捨ててしまったんだろう。しかしながら言葉を変えて護送船団というのは一部のお店に凄く負担がかかるのですから・・

    返信削除
  2. 富士見台ほんちょう通り商店街 さま
    コメント、ありがとうございました。
    お返事を書いてたら長くなってしまったので、別のエントリーとして投稿しました。
    これからもよろしくお願いします。

    返信削除