2010年9月10日金曜日

インセプション

これは、面白い。
ストーリーがユニークで、CGがすごい。
まぁ、主人公が追われる理由とか、案件の依頼理由とかが今一つだったけど、そんな事は些末な事だろう。

夢と現実の境界線は曖昧で、夢はカスケード式に階層化されており、階層が深まるにつれて時間軸が伸びていくという設定。そして、意識的に複数の階層を行ったり来たりできるスキルを持った人たちが主役。夢から潜在意識に入り込み、頭の中にあるアイデアを盗み出す。または、アイデアを植え付ける。夢と現実の整合を取るために世界観を設計し、環境やストーリーを作り込む。

複数の時間軸を作り込む事ができるので、現実世界では非合理なシーンが同時進行することになる。下位階層は上位階層の影響を受け、世界が矛盾に満ちていく。

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何がなんだか分からない状態がしばらく続き、徐々に世界観が理解できてくると、一気呵成にゴールに向かって突き進んでいく。

普段でも、今見えているもの、感じていることは現実なのか、そうでないのかと考える事がある。もしかしたらイメージを共有しているだけじゃないか、と。

夢からさめるには、現実世界で設定された「目覚まし」で起きるか、夢の中で死ぬしかないとしたら、そこにいる人たちが、現実か夢かを判断する術を持っていない事になる。

映画の中では、現実と夢の区別がほとんどなく、ただ階層が違うだけという感じだった。つまり、今、自分たちが暮らしているこの世界も、実は、一階層深い夢の中なだけかも知れない。そのことは、死んで初めて分かる。

そう考えると、ある種の宗教的な考え方を映画という表現方法に落とし込んだようにも思えた。あるいは世界各地に残っていると言われる浦島太郎的な伝説の、一つの表現なのかも知れない。

夢の中の登場人物は、現実世界の写像であり、夢の所有者の意識でしかないとしたら、その登場人物たちが考えることは、所有者の想像力を超えることはない。つまり、夢の階層が深くなるほど、アイデアはリジットに、リアリスティックになっていくのだろう。

だからこそ深い階層で見い出したアイデアは、頭にひどくこびりつき、増殖する。最後には、無視することができないくらいに巨大化し、囚われ、アイデアを実行せずにはいられなくなると言うことだろう。

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