2010年9月13日月曜日

比較ベース戦略はダメ

日本は、ここで言うまでもなく元気がない、閉塞感に溢れていると言われる。ここ最近は、技術で勝って事業で負ける、という妹尾式評価がコンセンサスを得ているように思う。

そして、競争戦略の専門家や経産省などが好きなのは、他国との比較から日本のあり方を考えようという姿勢だ。

妹尾式にしても、アップルやインテルはうまくいってるよねという視点だし、経産省の産業構造ビジョンは韓国との比較で、危機感を表現していた。でも多分、他国はそんなに他国を比較した上で自国のポジションを考えてはないと思う。

アメリカはたまたまシリコンバレーやニューヨークなどIT技術や金融技術が卓越した地域があっただけだし、中国は人口の多いだけ、韓国は微妙な国のサイズが企業を大きくして国際化を促進しただけだし、ヨーロッパは地続きという地域特性を活かしているだけなんじゃないかな?

つまり、みんな自国の強みを伸ばすような産業政策を打っているだけで、他国の状況がどうとか、評論家レベルでは調査するにしても、方針を決める際のカギにはなってないように思う。

つまり、日本も日本の強みをフルに発揮できるような産業政策を打てばそれで良いのであって、別にアメリカ、中国、韓国、ヨーロッパがどのような方針で動こうとしているかなんて、気にする必要はないんじゃないかな。

じゃあ、日本の強みってなんだ、という話だが、過当競争に裏打ちされた、消費者の購買レベルの高さじゃないかと思う。つまり、コストパフォーマンスの見極めがかなりシビアで、なおかつ、良いものを求める意識が強いと言うこと。ここは、国際的にも比較優位なポイントだと思う。

比較的大きな国内市場に支えられて、多くのメーカーが激烈な競争を繰り返したことがもたらした効用は、消費者にレベルの高い商品を見比べる機会を与えた、ということだろう。

今後を考えると、その唯一と言っても良い比較優位ポイントが、急速に劣化していく方向なのは間違いない。

人口は減少し、市場は縮小し、企業は弱体化する。つまり、今までのような、消耗戦と揶揄されながらも、商品を鍛える場ともなっていた国内競争ができなくなるということだろう。

また、若者から高齢者への所得移転を伴いながら、高齢者が増え、若者が減る。つまり、枯れたニーズしか持たずお金を持て余している高齢者と、お金を持たず商品を鍛える目を育てることのできない若者が、バラバラに存在する状況が加速している。この状況は、外国企業のいいカモだろう。

他国比較ばかりして、自国の強みを見失ってばかりいると、やり直しが効かない状況に陥りそうでコワイ。

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