2010年10月22日金曜日

この国をでよ

大前研一と柳井正の共著?対談?掛け合い?二人が互いに、相手の論に対する意見として自らの論を重ねる、重層的なショートエッセイ。

この二人の意見は良く似ていて、共感できる部分も多いが、極論すぎる。逆に、これぐらい極論を詰めないと、一流とは言えないのかも。

内容はまさに「日本をでよ」ということ。

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昨日、羽田空港国際ターミナルが開港した。最初はアジアだけと言っていたようにも思うが、気がついたら世界各地とつながっている。今後、成田空港の立場はいよいよ怪しくなってくるだろう。

近くに真の競合サービスができたことで、日本お得意の追い詰められたレッドオーシャンに伴う、顧客満足最大化策への極端な打ち手が加速する可能性は高いだろう。

今までも何度も経験している、消費者の目を肥えさせ企業の収益を悪化させる可能性のある、無料化を含めた品種やサービスの多様化だ。家電、パソコン、通信インフラ、携帯、鉄道、外食産業、飲料などなど、日本のどこででも見られる、ある意味で日本のお家芸でもある、先鋭化したガラパゴス進化なのかもしれない。

空港に対する、顧客すなわち航空会社のニーズは明確で、使用料を安くして欲しい、ということに尽きる。つまり、羽田と成田は今後、互いに使用料の安値競争に突入することになる。空港使用料が中長期的に期待できないとなると、自ずと空港の不動産としての価値を高めていかざるを得ないだろう。

実際、羽田といえども飛行機に乗り込むための港の役割以上は、まだまだ果たしてないように感じる。早めに来たくなる、到着後もゆっくりしていたい、飛行機に乗る用事がなくても行きたい場所を目指す必要があるだろう。

ともあれ、日本の空港業界に真の競争環境が生まれたことで、空港のビジネスモデルが、根本からひっくり返る可能性が高いと思う。

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実は、日本の変革にはこの「真の競争環境」が必要不可欠なんだと思う。直近の成果を求めるから、先行して逃げ切るような、当たり外れのある、コンセプチュアルで戦略的な戦い方は苦手で、目の前にあるドロ沼の戦いに参入するしかない。仁川空港がいくら競争力を持っていても、あの程度の距離感ですら、競争環境としてのリアリティを持てないのではないか。

だから、本著で大前、柳井両氏が語る日本を出て、世界を知れ。そして、日本に戻ってきて、グローバル視点でビジネスを構想しろと言うのは、理解はできるが、現状にマッチしていないと思う。

たとえ、一部企業がそうであっても、その他大勢はその程度の視野すらない。日本人の多くは基本的に、目の前にある血で溢れた戦場しか見えてない、少しでも離れると戦場として認知できないほど視野が狭く、想像力が乏しいのだから。

ここまで書いて、リアルを理解する想像力とバーチャルに対する想像力は異質なモノだと気づいた。日本人は前者は弱いが後者は比較的強い所に特徴があるように思う。

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