2010年10月1日金曜日

Big Picture

8年ほど前の話だ。あの911からちょうど一年が経過した2002年9月に、アメリカ西海岸に出張する機会があった。空港は警戒厳重で、態度の悪い空港職員にベルトと靴を脱がされた記憶がある。西海岸とは言え、まだまだ緊迫感のあるアメリカ出張だった。

メインの目的一つに、オフィシャルなサブ目的一つ、オフィシャルではないサブ目的をいっぱいくっつけて、出張計画を作成し、個人的には楽しかったし、様々な知見を得ることができた。

Youtubeで、元ソニーの出井さんが代表をしているクオンタムリープ主催のAsia Innovation Forum2010を見ていて、DCMの伊佐山さんの話を聞きながら、その楽しかった日々の1シーンを思い出した。

オフィシャルではないサブ目的の一つに、シリコンバレーのVC(ベンチャーキャピタル)を訪ねる、というのがあった。

別にアイデアがあったワケではない。その頃は今よりは愛社精神もあったし、建設業の未来を憂いながらも、当社の事業に強くコミットしていた。そして、どうしたら当社がより強くなれるかを考えていた。本業の再構築を手がける手段として、複雑系に手がかりを見つけようとしていたのもこの頃だ。

訪問したVCは、Kamran Elahianという伝説のシリアルアントレプレナーが率いるGlobal Catalyst Partnersという会社だった。ここを選んだ理由は、単に知人が出向して働いていたから、というものだ。この知人も今では友人だが、当時は紹介されただけの顔も知らない人だった。

会うことが決まっててもノーアイデア、ノープランだった。今考えると、それもすごい。ばか。単に会ってみたいというだけだったんだろう。当然、英語も拙い。正直、震えるチャレンジだ。

何の話をするのかを決めないまま、オフィスに着いて、すこし気持ちを落ち着けるためにトイレへ。そこに、アラブ系でTシャツをきた、掃除のオッチャンみたいな人が入ってきた。別に話をすることもないので用を足し、そのままオフィスへ。

最初にお会いしたのは、インド人の副社長だった。何となく挨拶をしてると、目的のKamranが来た。おー、さっきのオッチャンやんけ!もう会っとるがな!と思いながら、挨拶を。








正直、何を話したか覚えてないが、日本の建設業と複雑系について、説明したような気がする。今考えると、伝わってたとは思えないが。まぁ、なんやかんやと話をした。要は雑談で、相手もしばしの暇つぶしぐらいで笑顔で話を聞いてくれていた。

しばらくして、Kamranが不意に尋ねた。
「ここからサンフランシスコに行くのに、お前ならどうする?」

時間が無ければタクシーを呼ぶし、時間があって心の余裕があれば、バスか電車の時間を調べて、のんびり行くかなー、と答えると、

「サンフランシスコに行くには3つの方法がある。1.時間をかけて調べて、予定を立ててからスタートする。2.何も考えずにすぐスタートする。3.進むべき方向だけ調べて、できるだけ早くスタートする。

お前が将来、何かビジネスを立ち上げたいと思うなら、正解は3だ。Big Pictureを描いて、Directionを見定めて、素早くスタートしろ。

Big Pictureを描けるよう努力しないとダメだ。物事を俯瞰した目線で眺め、広く、大きく物事を捉える必要がある。お前がビジネスをしたいと思うなら、忘れるな。」

あれから8年。
今の自分はどうだろう?少しsmall過ぎやしないか、と自問自答してみる。また、意識的に視野を拡げ、Big Pictureを描き、楽しむような日常を心掛けよう。

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