2011年6月10日金曜日

iCloudとiTunes Match

Appleがクラウドサービスを使ったOTAを発表した。みなが待ち望んだ機能で、ようやくiPhone/iPod touch/iPadがMacの呪縛から放たれる。

逆に言うと、MacもiPhoneなどと同列に並ぶ訳だが、いよいよ全てのデジタルアプライアンスがクラウドセントリックになる時代が来たんだろう。

今までのクラウドは、利用者が使うものだったが、これからのクラウドは利用者に気づかれないようにマシンが使うものになっていく。それはクラウドがより人の生活に近づく事であり、生活とインターネットがシームレスにつながる事である。

扱うデータ量も遥かに増えるだろうし、そうなると3Gでは手に負えなくなってくるので、どうしてもWi-Fiとの連携が必要になってくるだろう。(安定した技術しか使わないAppleが4Gを採用するのは、かなり先の話になるだろう)

iCloudが他のクラウドと違うのは、全てのデータを扱わないことと、iOS機器に自動同期できるということだ。Apple製品を対象に絞った事で、できる事が広がった。

割り当てられる5Gの中には、Eメール、書類、カメラロール、アカウント情報、各種設定、そのほかのアプリケーションのデータなどしか置かないのだが、実際は、購入した音楽やアプリケーション、ダウンロードした本、そしてフォトストリームの写真もバックアップされる。

つまりiPhoneに入っている全てだ。最大で64GにもおよぶiPhoneのデータを、たった5Gで納めるのはAppleだけだ。

何でそんなことができるかと言うと、購入した音楽やアプリは、全てのデータをAppleが持っているからだ。Appleは、ファイルの実体ではなく、リンクを保管しておくだけで良い。つまり100万回ダウンロードされた音楽をGoogleが管理するのと、Appleが保管するのでは100万倍の差が生まれる訳で、Appleのサーバー効率も良くなるが、当然、同期するのも簡単になるので、利用者にも大きな影響がある。

さらにiTunes Matchという有料サービスを使うと、自分でリッピングした音楽を、自動的にAAC256に変換してくれる。そうすることで、Appleはサーバー効率を上げ、音楽業界は不正ファイルを撲滅でき、利用者は正式なファイルを手に入れる事ができる。また、この有料サービスで得られる収益の70%を音楽業界に渡す事になっているらしい。

結局、iCloud周りでAppleが得る収益はほとんどないが、iCloudが利用者をAppleに引き寄せ、離れられなくするマグネット効果は極めて高い。

何という構想力なんだろう。

Googleは偉大な企業だが、検索と広告を結びつける以上の事はできていない。Amazonはネット小売りとして、そしてクラウドサービスとして最大だが、それ以上ではない。Facebookの中には6億人以上が住んでいるが、それだけだ。

Appleだけが別次元のビジネス構想を持っている。世界の中でJobsだけが異なる目線で未来と現在を見ていることになる。

秋になったらiOS5とiCloudが公開される。iPad2を買ってしまいそうだ。

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