2011年6月29日水曜日

Grouponが教えてくれた事

グルーポンのIPOが近づき、何かと話題が絶えない。そのような中でグルーポンビジネスの危うさに関する記事がTechcrunchに掲載された。

クーポンビジネスが崩壊する理由
クーポンビジネスが崩壊する理由―パート2

グルーポンが世に広めたフラッシュマーケティングは、そのビジネススキームからキャッシュの回し方まで焼畑商法的で、伸びている間は良いが、伸びが鈍化したとたん破綻が近づくということらしい。サブプライムなどと同じでバブル化し、胴元だけが儲かり、その他大勢は損をするパターンだ。

グルーポンビジネスで分かる事のその1は、顧客の増大=利益の増大ではないということだろう。むしろ、フラッシュマーケティングに依存した形での顧客の増大は、利益を激減させることさえある。もともとフラッシュマーケティングはざっくり言うと、半額セールをして、売上の半分をクーポン事業者とお店で分けあうという、お店にとっては完全に赤字で行うやり方だ。しかも、普通に考えたら、バーゲンハンターと呼ばれる安売り大好きな人、つまり永続関係を期待できない客だけが増える可能性も多分に含んでいる。

その2は、クーポンによるおトクを目当てに遠くから来る客が、クーポンなしにもう一度お店に訪れる可能性はほとんどゼロに近いという事だろう。そういった、お店にとって将来性の無い客だけを選択的に集めるやり方とも言える。

その3は、依存性の高いビジネスモデル故に不良店舗が集まりやすく、活用して行く中で不良店舗化していくという事も言えるだろう。もとより出血覚悟のマーケティングを実施せざるを得ない時点で、お店の状況が良いとは言えないだろうが、多くの場合は、クーポンの売上の一部を先にお店に渡し、キャッシュが回るようにしているらしい。お店としては短期資金が手に入る事で当座を乗り切れる訳だが、この当座資金で賄えない(ハズの)量がすでに予約されていて、その壁を乗り越える資金を手に入れる為に、クーポンを再発行してしまう。まるで、我が国の赤字国債のようなスキームだが、これは借金を膨らましながら未来に先送りしているだけなので、どこかで経済状況が劇的に好転し、借金を返せるだけの利益が得られるようになるまで、延々と続く。稀に好転するかも知れないが、ほとんどは返すメドが立たないまま沈んで行くだろう。

今までの店舗支援サービスは、多かれ少なかれ客にインセンティブを与える事で来店を促すパターンで構成されている。グルーポン、ぐるなび、ホットペッパーなどや、Foursquare、コロプラ、Google Offers、Facebookチェックインクーポンなど、全てそうだ。こういったサービスを、例えばショッピングモールなどで使うと、客に買い回りの動機付けを行うことができる。

これらのサービスは短期的メリットが分かりやすいので、飛びつきやすい。客にはおトクが、店には集客が、モールには買い回り客が増えるように見える。しかし、こういったサービスを活用して得たい成果は、バーゲンハンターによる一時的な活況ではなく、継続的に来店してくれる新規客だろう。

客にとって継続的に来店するインセンティブになっているのか、店にとって継続的に来店してくれる新規客を呼び込む仕組みになっているのか、モールが主体的に買い回りを活性化させる手段になっているのか、をよく考える必要があると思う。

グルーポンが作り出した環境を観察して、インセンティブを施策の中心に置いたサービスは限界に近づきつつあるように感じた。グルーポンビジネスでインセンティブの量はもはや溢れ出さんばかりになっている。

今後はインセンティブを過剰に煽り立てる”おトクな”サービスよりも、客、店、モールにとって”便利な”サービスが優位になると、個人的には考えている。もちろん、自分がそういったサービスを運営しているからだが。

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