2012年3月12日月曜日

1年後の3.11

あの日本を大混乱に陥れた震災から一年が経過した。この一年は、本当に色々なパラダイムが変わったと思う。国、社会、地方自治体、過疎地、企業、個人とそれぞれの立ち位置での見え方が大きく動き、次なる一歩を模索するフェーズに突入している。今年が試金石となるだろう。

特に変わったのが、エネルギーの形と地震に対する考え方だろう。

震災前から検討が進んでいた固定価格買取制度(FIT)が始まる。推進派の中には、3年間は確実に儲けがでるビジネスになるんだから積極的に活用すべし、という無責任な事をいう人もいる。一方で、欧州ではすでに20年続けた上に、同じ投資をするなら生産拡大ではなく研究開発にした方が長期的なメリットが大きいと言われ、また、CO2削減という観点においてもコスト効率の低さを指摘されている。つまり、意気揚々とスタートするFITは、必ずしも最良の方法ではないと言う事が、ドイツの22年間の社会実験で明らかになっているのだ。増してや、赤字国債が1000兆円を超え、震災のダメージが大きく、また、都心に深刻なダメージを与えると予想されている次なる震災が控えている今、取り組むべきチャレンジではないと思われる。

地震については、アカデミックな世界を震撼させている事は間違いない。今回の地震は6つの震源域が連動したと言われているが、その可能性について議論されてきたとは考えられない。せいぜいが三連動で、しかも東海・東南海・南海と言うものだ。今回の連動は、今まで語られてきた三連動とは意味が違って、主要な震源域につられて、その周りの可能性が低いと言われていた震源域まで動くということだから、従来の三連動はもしかすると9連動ぐらいになる可能性だってあるかもしれない。そんな、パラダイムシフトが起こっている中で、東京の下にあるフィリピン海プレートが10kmも上に位置する事が分かったという。今、アカデミックな世界は大きく揺らいでいるが、その揺らぎを収束させるのに、与えられた時間は短い。

個人的には、地震から1年後の3月11日、神戸の伯父さんが亡くなった。同じく震災の地である神戸で最後のお見送りをしたあと、家族と布引の山に車で登った。そこからは、日本最古のダムである布引ダムと神戸の街並みが一望できる。しばらくすると、季節外れの雪が舞い始めた。みるみる内に吹雪に。伯父さんの魂がサヨナラの挨拶にきたのかも知れない。


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