2012年3月26日月曜日

ヒットアプリの条件

世の中にあるサービスのうち、はたして既に歯が立たないほどジャイアントなものがあるのか、ということを改めて考えさせられたのが「LINE」の大ヒットだ。

「LINE」は、いわゆるIP電話で、現在の所スマートフォンに絞って展開している。8ヶ月で2000万ダウンロードを達成し、今年度最大のヒットと言っても過言ではないだろう。IP電話サービスというのは、割と昔から存在し、特にスカイプの知名度は高い。実際、PCにおけるスカイプの支配率はかなりのもので、(ライブドアが元気だった)一時期は積極的にバンドルされていた事もあり、PCでIP電話を使おうという人にとっては第一候補となっていたと思う。

そのスカイプが、スマートフォン時代に入ってからは元気がない。理由は、スマホではバンドルという概念が希薄(市場シェアの高いiPhoneにおいては皆無)で、必ずしもスカイプが第一候補ではないこと、そもそもスマホは電話機能を持っている上、条件によっては無料通話が可能であり、IP電話の優位性が明確になっていないこと、などがある。

そのような中で「LINE」がローンチされ、大ヒットを記録している。「LINE」が今後どのように成長していくかは分からないし、本当にIP電話を積極的に利用する人がそんなに多いのかも、まだまだ不透明だ。

それでも一つ分かったのは、たとえPCの世界でジャイアントであっても、スマホでは別だと言う事だ。もっと言うと、PC市場では成熟したと思われるサービスでも、スマホ市場でその実績が活かせるとは限らず、競合サービスの参入余地がまだまだ残っていると言う事だろう。

また、PCではプラットフォームよりもアプリへのロイヤルティが高かったが、スマホでは逆な気がする。具体的には、PCではMSオフィスが使えることが重要だったが、スマホではiPhoneで使えることが求められていると感じる。理由は、マーケットが厳密に設定され、かつアプリ製作が簡単になったからだと思われる。つまり、プラットフォームが設定するマーケットに並べられているアプリからしか選択できないが、その選択肢が多様で変化に富んでいるので、特定のアプリがマスを握ることが難しく、結果として、アプリがプラットフォームよりも支持を集める事ができないのではないかと想像する。

「LINE」を含めて(ゲーム以外で)ヒットするアプリは、プラットフォームを超えて利用されることが前提で、また、プラットフォームを超えて使われることに意味があるものだけのような気がする。その意味でコミュニケーション系のアプリはヒットしやすいのだろう。

スマホを使ったサービスをヒットさせようと思ったら、プラットフォームを超える必然性を用意しておかなければならない。

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