2011年8月26日金曜日

BJ/AJ

世界はJobs前後で大きく変わった。

Jobsがいたからマウスが日の目を見て、GUIが発達した。それ以前は、というかその当時のJobs以外の人間はCUIで十分だと考えてたし、まさかコンピュータが、こんなに個人生活に不可分なものになるとは思ってなかった。

その意味では、Jobsがパーソナルコンピュータを作ったと言えるし、そもそものコンピューティングの概念を再定義したと言える。

でも、新しい概念がマスに届くまでには時間がかかり、その間に他社が追い上げ、結果として戦略的にゲイツがグローブと組むことで、世界を支配した。それでもPCの世界で、BJ/AJという形でJobsが歴史上の転換点になっていることは間違いない。

言うまでもないが、その後もフロッピーディスクを葬ったり、USBに日の目を見せたりしつつ、パソコンを機能から価値に変換したのもJobsだろう。それまでのパソコンは、単に機能の寄せ集めでしかなかった。機能が高いものが良いパソコンだった。iMac以降は機能ではなく、それがもたらす価値に、より重心が置かれるようになった。

iMacでコンピューティングは二度目のBJ/AJ転換を迎え、そして今、iPadが次なる転換を起こそうとしている。

業務用途でしかなかったコンピュータを個人用途に開放したMac、ネットにつなぐ事で価値が飛躍的に拡大させたiMac、そしてデバイスが持つ力を何倍にも拡張するクラウドとの付き合い方を提案しているiPadと、Jobsはコンピューティングの歴史において3度の再定義を実現している。

その間に、音楽、映像を製作から配信に至るまで再設計し、それに伴うデバイスのあり方も作り変えた。そのデバイスとデータのハンドリング方法は携帯電話を再発明するに至り、iPhoneを生んだ。

Jobsがいなければ、コンピューティングは今とは比較にならないぐらい小さなものだったに違いない。そして、インターネットは、未だにただのネットワークだったかも知れない。

Jobsが引退した今、1976年から続くコンピューティングの歴史に一つの幕が降りた。Jobsによる再定義・再発明が二度と見られないと思うと一抹の寂しさを感じるが、次の世代が生み出すコンピューティングの進化に期待したい。


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