2011年8月12日金曜日

ネットにおける存在

検索されなければ存在しないも同然といわれて久しい。

SEO/SEMなどがビジネスになるぐらいに、皆がそういう意識でいるように思える。しかし、ネットショップならまだしも、リアルに存在するお店の場合に検索されなければ存在していない、ということはない。リアルへの誘引力を期待してネットに力を入れるお店も多い中、やはり検索というかお店を見つけるパラダイムを見直す必要があるように感じる。

ネットは空間を超えられることが特徴なので、ネットで検索されることの前提には、距離の概念が欠かせず、特に物理距離が遠く離れているほど効果が高い。つまり、近くの客はリアルで、遠くの客はネットで、ということが基本ルールだろう。では、ネットは近距離に弱いのか、というと必ずしもそうではなく、ネットの使い方を近距離に合わせていないだけではないか、と思う。

遠距離を対象にしたネットショップは単純だ。その昔はカタログ通販やテレビショッピングがやっていたことを、よりダイナミックにした、ということでしかない。情報流と物流を分けることで、それぞれを最適化して、運用しているに過ぎない。大切なのは、情報選択において利用者のリクエストにぴったり合った商品を導き出すことで、商品の差別化と差別化された商品を適切に抽出できる検索方法が鍵を握る。最も効果的なのは、やはり物販だろう。

中距離を対象としたものの代表格はグルメだ。渋谷にいて、品川と池袋のお店は等価だろう。多くの選択肢の中から、自分の好みのお店を選び、実際に足を運んでサービスを受ける。ここで大事なのはクーポンなどのおトク情報で、それが利用者の足の向きを決めることもある。ここでは等価な選択肢を多く並べておくことがサービスとして重要で、情報を提供するお店としては、その等価な情報の中で目立つことが重要だ。

では、近距離はどのように考えればいいだろうか?

半径300mぐらいを対象にすると、等価なお店は多くない。また、存在する情報量に限界があるので、差別化された商品を適切に抽出することのプライオリティはさほど高くない。そのような環境においてはネットは無意味だろうか?

昨今は手元にネット環境があり、どこからでもアクセスできる。ただ、リアルな存在としての人の行動には限界があって、遠距離、中距離の情報を活用することもあれば、近距離の情報が大事なときもあるだろう。その近距離情報を取り扱う手段というのは、今までのような「検索」を中心としたパラダイムでも、「おトク」を中心とした情報構成でもないはずだ。

そんな近距離におけるネットの活用と、情報の存在について、考えている。きっと今までとは違う情報のハンドリング方法が、そこにはあるはずだと思っている。

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